中央社会保険医療協議会薬価専門部会は7月9日、2026年度の薬価制度改革についての業界ヒアリングを行った。製薬企業関連団体は「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)対象品目の薬価維持や低薬価品目の薬価引上げなどを要請した。
通常年改定の年にあたる24年度の薬価制度改革では、イノベーションの評価として新薬創出等加算における企業区分の廃止や迅速導入加算の創設などを実施。26年度改革においてもイノベーションの適切な評価は重要課題の一つだが、中医協の各側委員は過去の施策による効果が確認できなければ追加的対応には応じられないとの姿勢を示している。
こうした意見を踏まえ日本製薬工業協会(製薬協)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の3団体は加盟企業の開発動向の変化を調査し、結果を部会に報告した。24年度改革後に治験内容等についてPMDA(医薬品医療機器総合機構)に相談を実施した製品は27品、治験に着手した製品は16品に上り、「実際に国内開発を進める行動変容が進んできている」と説明した。
その上で製薬協は次期薬価制度改革における対応として、①類似薬効比較方式における類似薬の選定について、疾患特性や製剤特性を総合的に踏まえて選定する仕組みに見直す、②新薬創出等加算対象品の薬価維持(現行のような加算による薬価維持ではなく、引き下げをせずに薬価が維持される仕組みとする)、③特例拡大再算定の廃止―などを要望。PhRMAやEFPIAはこれらに加え、中間年改定の廃止や、希少疾病・小児の効能等を追加した品目の市場拡大再算定からの除外なども求めた。
一方、日本ジェネリック製薬協会(JGA)は後発医薬品の需給見通しについて、29年度には需要量を供給量が上回るとする試算データを提出。その早期実現のためには業界の取り組みはもちろん、薬価を下支えする施策が必要不可欠とし、低薬価品目の薬価の引上げ、供給量を増やし供給不安の改善に努めている企業が今後も継続して安定供給体制を強化していけるよう、市場での評価が適切に反映される制度への見直しを要請した。