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【識者の眼】「Come Toコロナにならない様に!!」邉見公雄

No.5059 (2021年04月10日発行) P.62

邉見公雄 (全国公私病院連盟会長)

登録日: 2021-03-29

最終更新日: 2021-03-29

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どう忖度しても、Go ToイートやGo Toトラベルが地方にコロナ感染症を拡散したということは総合的俯瞰的に見れば疑いようがない。昨年は甲子園を中止(今春の選抜は観客を人数制限)し、鹿児島国体を延期にしたが、今年は世界国体のオリ・パラを実施? 五輪関係者によると、外国人客は入れず日本人の観衆と報道陣、役職員のみで実施するとか。延期や中止は頭にないらしい。イギリスや南アフリカ、ブラジルなどの変異型ウイルスが猛威を振るう中で強行しても良いのだろうか? 私の如き低脳者には理解しかねる。

また、代表選手選抜の予選が予定通り実施できない国もあると聞く。あと100日で決して見通しは明るくない。どれだけのトップ選手が参加するのであろうか? 中国や韓国、北朝鮮、そして個人で来るロシアなどは命懸けで参加するのであろうが、家庭ファーストの欧米は見送る選手も現れそうである。例えばアメリカが参加しないバスケや野球、ブラジルが参加しないサッカーなどはメダルの価値は暴落必至である。

最近のオリンピックは商業主義の色彩が強く、米国3大放送網のためのイベントになっている感さえする。日本では熱中症の最盛期である7月にやるのがその証拠。さすがにマラソンは札幌に会場を移したが…。これは米国4大プロスポーツのバスケットや野球、アメリカンフットボール、アイスホッケーの放送がない時期に決まったとか。我々医療人は感染の危険性を黙殺していいのだろうか? 最近の世論調査でも国民の5割以上が延期か中止を望んでいる。島根県の丸山達也知事は県内の聖火リレーを中止したいと表明。私の周囲では勇気ある発言と思う人が多かったが、大政翼賛会的な動向に掻き消されてしまった。

以前、「大日本帝国の崩壊」(山室建徳編)という本を読んだ。その中に先の大戦の“5賊”を列挙している。陸軍の馬鹿、海軍の阿保、国会のボンクラ、官僚の間抜け、新聞の腰抜け、と手厳しい。もしオリ・パラでコロナがウェルカムになった時の5賊は? 私の診断ではJOC・組織委の馬鹿、東京都の阿保、新聞などメディアの腰抜け、となるが後の2つは同じである。医療界もどこかに入るのであろうか。どちらにせよ迷惑を被るのは従順で大人しく声を上げない国民であることには変わりない。これが誤診で終わることを祈るばかりである。

邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[オリンピック・パラリンピック]

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