中央社会保険医療協議会総会は4月14日、キムリアなど8品目の医薬品について、費用対効果評価結果に基づく価格調整を了承した。いずれの品目も薬価が引き下げられる。価格調整後の新薬価の適用は、医療機関などにおける在庫への影響を考慮し、7月1日からとする。
今回が、2019年4月の制度導入後初めての価格調整になる。対象品目は白血病治療薬のキムリア、慢性閉塞性肺疾患などの治療薬のテリルジーおよび、テリルジーの類似品目。各品目について、複数の対象集団で既存の治療法と対象品目による治療法での費用対効果を比較・分析した結果、すべての品目での薬価の引き下げが決まった。
キムリア点滴静注の調整後薬価は3264万7761円(現行3411万3655円)。テリルジー100エリプタは、14吸入用が4160.80円(4183.50円)、30吸入用が8805.10円(8853.80円)となった。
費用対効果評価の際、複数の対象集団で分析を行う場合は、分析対象集団ごとでの価格調整の後、それぞれの患者割合で加重平均して最終的な調整後薬価を算出する。今回、テリルジーに関しては、費用対効果評価結果とともに分析対象集団ごとの患者割合が公表されたが、キムリアは、企業秘密にあたるとして非公開扱いとなった。
この点について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「重要な指標である患者割合が企業秘密だとして公表されないのはどう考えてもおかしい。(費用対効果評価の)第一弾でこれを認めると、なんでもかんでも企業秘密として非公開になる恐れがある」と強い問題意識を示した。これに対して厚労省は、「透明性の確保は重要な課題であり、具体的な事例を積み重ねていく中で、患者割合の公表がどこまで可能になるのか。今後の制度論の検討段階で改めて業界団体の意見も聞いて整理したい」と述べた。
また、同日、新薬として薬価の算定結果が報告された「イエスカルタ点滴静注」は、キムリアの類似品目であるため、保険収載と同時に費用対効果評価結果に基づく調整後薬価が適用されることになった。薬価は3264万7761円(調整前3411万3655円)。新薬で医療機関などに在庫はないことから猶予措置は行わず、4月21日の保険収載日から調整後薬価を適用する。