No.5096 (2021年12月25日発行) P.64
山本晴義 (労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)
登録日: 2021-12-02
最終更新日: 2021-12-02
2020年度に過重労働や仕事のストレスで精神障害の労災認定をされた人は、608人で過去最多となった。うつ病で休職中の方が、様々な不調で精神科、心療内科以外の科を受診する場合もあるが、休職中どのような生活を送っているのか具体的にご存じだろうか?
うつ病の治療は休息と薬物療法が基本になるため、治療開始から1カ月程度は、日中も寝ていることが多い。1〜2カ月もすると、日中は起きて生活ができるようになるが、起きているといっても、寝転んで夕方までごろごろが多く、外出は近所に買い物程度である。夕方以降は比較的すっきりして、逆に遅くまで起きてしまい、睡眠のサイクルが乱れやすい。この時期は、生活リズムを意識し、①起床時間を整え昼寝を減らすこと、②少しずつ外出を増やす、③食事は3食とることを勧めている。
服薬による眠気が起こりやすく、昼寝が日課になっている方も多いが、習慣化すると生活リズムが整いにくいため、眠くなる時間帯には買い物に行く、簡単な家事をする等が大切である。また、昼寝をする場合は15時前に30分程度にとどめることを勧めている。
食事に関しては3食、特に、朝、とにかく何か食べることを伝えるのも大切であろう。休職から3カ月目以降は、復職準備期にあたる。日中、定期的に外出ができるようになると主治医から「そろそろ復職の準備を」と言われ、同時に生活記録表を記入することが多い。復職可否の重要なポイントは、“出社と同じような時間帯の起床・外出ができること”であり、これを、「生活記録表」を利用して客観的に見ていく。
さらに、この時期には、再発防止のためなぜ自分が休職することになったか、職場に戻った際に気を付けること等について振り返りを行う。人によっては職場などの勧めで主治医の許可を得て専門機関でリワークプログラムに参加することも多い。うつによる休職は長い時間を要する。再発も非常に高いことを踏まえて、生活や投薬のアドバイス等をして頂きたい。
山本晴義(労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)[うつ病][休職][生活指導][リワークプログラム]