厚生労働省は1月28日付で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針(GL)」とそのQ&A の改訂に関する医政局長通知を都道府県などに送付した。初診からのオンライン診療が解禁されるのを受け、対象患者の要件や、診療に至るまでの具体的手続き、初診時の処方を禁止する薬剤などに関する記載を追加した。
改訂GLによると、初診からのオンライン診療を行う医師は、「かかりつけの医師」であることを原則とするが、医学的情報が十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合も実施を認める。医学的情報の具体例では、既往歴、服薬歴、過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳―などを挙げた。
オンライン診療を担当するのが、かかりつけの医師ではなく、医学的情報も十分でない場合は、映像を用いたリアルタイムのやりとりを通じて、医師が患者の症状や医学的情報を確認する「診療前相談」の実施を求める。その結果、医師と患者の双方がオンライン診療の実施が可能だと判断し、相互に合意した場合に限り、初診からのオンライン診療を認める。
触診や聴診などが行えず、得られる情報に限りがあるオンライン診療においても患者の安全性が確保されるよう、初診の場合の薬剤処方では、▶麻薬および向精神薬の処方、▶基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬剤の処方(抗癌剤や免疫抑制剤等)、▶基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日以上の処方―を禁止する。
一方、GLとともに改訂されたQ&Aでは、GL上の「初診」の定義について、初めて診察を行うことを指すが、継続的に診療している患者で、新たな症状(既に診断されている疾患から予測された症状等は除く)に対する診察を行う場合や、疾患が治癒した後、または治療が長期間中断した後に再度同一疾患について診察する場合も含まれると解説。「かかりつけの医師」に関しては、「日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」が該当し、「最後の診療からの期間や定期的な受診の有無によって一律に制限するものではない」と明記した。