社会保障審議会医療部会は3月28日、オンライン診療を含む「遠隔医療」の活用促進に向けた議論を開始した。政府の「規制改革実施計画」の提言を踏まえたもので、2022年度中に具体策を盛り込んだ「基本方針」を策定する。
遠隔医療のうち、オンライン診療については今年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改訂。これまで新型コロナウイルス感染症対応の特例的措置として実施されてきた初診からのオンライン診療を恒久的な制度として位置づけ、かかりつけの医師以外が行う場合の要件や手続き、オンラインによる初診に適さない症状や処方薬などの運用を細かく規定した。これを受けて、22年度診療報酬改定においても、オンライン診療に関する既存点数の見直しや、初診をオンラインで行った場合の評価の新設が行われ、この4月から新たな制度的枠組みによる運用が始まる運びとなっている。
オンライン診療を普及する素地が整いつつあるこうした現状から、厚労省は、今後はオンライン診療を含む遠隔医療が地域で幅広く適正に実施されるため活用促進に施策の軸足を移していくべきだと判断。政府の「規制改革実施計画」(21年6月閣議決定)が提言する遠隔医療の地域でのさらなる活用に向けた「基本方針」について、医療部会で議論することを提案し、了承された。
同省が部会に示した案によると検討項目は、▶地域の医療提供体制の確保において遠隔医療が果たす役割、▶国、都道府県、医療関係者のそれぞれが取り組むべき内容、▶患者・住民の理解を進めるための取組、▶個人情報の取扱いや情報セキュリティのあり方―などを想定。
部会での議論と並行して、地域の医療関係者や関係学会の協力を得ながら遠隔医療の活用に関する好事例を収集する取組も進める。都道府県等を通じて好事例集を周知することにより、横展開につなげたい考えだ。