日本人4人目となるノーベル医学・生理学賞に輝いた大隅良典東京工業大栄誉教授。3日の会見では「酵母のような基礎的研究が今日のオートファジー研究のきっかけになったとすれば、科学者としてこの上ない幸せを感じる」と受賞の喜びを語った。
大隅氏の受賞理由は「オートファジー(自食作用)の仕組みの発見」。オートファジー(用語解説)とは細胞内のリサイクル機能を指す。細胞を構成するタンパク質などの高分子は合成と分解のバランスによって生命が維持されている。大隅氏は酵母細胞を用い、1988年に分解の仕組みを分子レベルで解明。その後、高等動植物でも同じ現象が起きていることを発見した。
現在、オートファジーは細胞内に変性タンパク質が蓄積して発症するアルツハイマー病やパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患に対する治療に加え、がん細胞のオートファジー阻害による治療など医療への応用が期待されている。
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