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高血圧症対象に遠隔診療の臨床研究を開始 【女子医大とポート】

No.4820 (2016年09月10日発行) P.10

登録日: 2016-10-13

最終更新日: 2016-10-19

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東京女子医大とITベンチャーのポート社は6日、都内で会見を開き、都市部で生活する高血圧症患者を対象に、テレビ電話やスマートフォンのチャット機能を用いた遠隔診療の臨床研究を共同で実施すると発表した。

研究の最大の目的は、対面診療と比べた非対面診療の非劣性・安全性の証明。研究参加者は本態性高血圧症と診断された成人男女で、目標症例数は450例。実施期間は3年間を予定している。参加者がネットワーク接続機能のある血圧計で測定した家庭血圧値を主要評価項目とする。

研究では、参加者を遠隔診療による「非対面型診療群」とかかりつけ医に通院する「対面型診療群」の2群に分け、1年間観察。1年経過時点で、参加者が受診の方式(対面、非対面)を自由に選択できるようにする。

東京女子医大の市原淳弘主任教授(高血圧・内分泌内科、写真)は会見で、「高血圧を自覚しながら、仕事や子育て、介護などで医療機関を受診できない都市部の人々に対する新しい診療の形を提示したい。重篤な心血管イベントの予防を通じ、将来的には医療費の削減も期待できる」と強調した。

遠隔診療は待ち時間の解消など患者の利点が期待される一方で、現行の診療報酬体系で算定できる点数は再診料(72点)に限られる。市原氏は「遠隔診療の普及に向けて、医療経営上の利点の有無も検証したい」と話している。

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