厚生労働省は7月1日、「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの会合を開き、電子処方箋と電子カルテについて遅くとも2030年までに全医療機関で導入するという新たな目標を設定、普及に向けたスケジュールを提示した。
電子処方箋を巡っては、政府の医療DX推進本部が策定した医療DXの推進に関する工程表で「概ね全国の医療機関・薬局に対し、2025年3月までに普及させる」とされていた。薬局については25年夏に概ねすべての薬局で導入が見込まれる一方、医療機関は1割程度の導入にとどまっている。
こうした状況を受け厚労省は、医療機関における電子処方箋の導入を進めるに当たっては電子カルテが導入されていることが重要と分析し、電子処方箋と電子カルテの一体的な導入を進める方針を打ち出した。電子カルテについては、「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」とされており、電子処方箋についても、遅くとも2030年までに全医療機関での導入を目指す。
電子カルテについては、目標達成に向け、オンプレ型かつカスタマイズしている現行の電子カルテから、いわゆるクラウドネイティブを基本とする廉価なものへと移行することを図りつつ、①電子カルテ導入済の医療機関には、次回更改時に共有サービス/電子処方箋に対応するシステム改修等の実施、②未導入の医療機関には、共有サービス/電子処方箋に対応できる標準型電子カルテの導入─を進める。
2023年の医療施設調査によると、電子カルテの普及率は医科診療所が約55%、一般病院が約65%となっている。政府は電子カルテ未導入の医科無床診療所向けに、クラウドベースの標準型電子カルテを開発中。2025年3月末から一部医療機関でモデル事業を実施している。