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■NEWS 長期収載品の薬価の追加的引き下げの厳格化を要請―薬価専門部会で各側委員

No.5183 (2023年08月26日発行) P.70

登録日: 2023-08-18

最終更新日: 2023-08-18

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中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は82日、後発医薬品と長期収載品について議論し、支払側、診療側の双方から長期収載品の薬価の追加的引き下げルールを厳格に適用するよう求める声が上がった。創薬力強化のため、国内の製薬企業は長期収載品に依存した経営体質から脱却することが求められており、引き下げルールの厳格化で後発医薬品への置き換えを加速させることが狙いだ。

この日は、(1)後発医薬品の収載時薬価や収載後の価格集約のあり方、(2)長期収載品の薬価改定ルール、(3)薬価の下支え制度(基礎的医薬品、最低薬価、不採算品再算定)、(4)安定供給が確保できる企業の考え方―などを論点に議論。 

1)の既存後発医薬品の価格集約とは、各価格帯(例:最高価格の50%以上、30%50%30%未満)内の品目を加重平均して価格を集約し、新たな薬価を設定するもの。この方法では市場実勢価格の高い品目の薬価が他の品目の影響を受けて下がったり、逆に低い品目の薬価が上がることもある。製薬業界はこれを不合理として、銘柄別収載への変更も含む見直しを求めているが、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「価格帯を増やす方向の見直しは慎重であるべきだ」と慎重姿勢をみせた。

2)の長期収載品の薬価改定ルールでは、後発医薬品の上市から5年後と10年後のタイミングで後発医薬品への置換え率に応じた薬価の追加的引き下げを行う仕組みについて、支払・診療側が揃って厳格化を要望した。

■前回改定で不採算品再算定が適用された品目の一部で仕切価率が低下

3)、(4)では、薬価と市場実勢価格の平均乖離率を企業ごとに集計し、中央値を100として指数化した結果、乖離率が最も高い企業の指数は500を超え、200以上の企業も33社あることが判明。2023年度の中間年改定で特例的に不採算品再算定が適用された品目の一部に、企業が卸売販売業者に対して設定する仕切価率が低下した品目があることもわかり、問題視された。 

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、不採算品再算定を受けた品目で過度な値引きが行われていないか、実態を明らかにする必要性を指摘。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、保険財政の面から、「骨太の方針2023」で提言された長期収載品の自己負担の見直しについて、社会保障審議会医療保険部会での議論を早急に開始するよう求めた。

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