厚生労働省は9月14日の中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会に、制度見直しに向けた論点を提示した。委員から特段反対はなかったが、高額医薬品を対象に価格調整範囲のあり方を検討する提案に対しては、現時点ではエビデンスが十分でないことや、ドラッグ・ロス/ラグにつながることへの懸念から、慎重な議論を求める意見もあった。
費用対効果評価制度の見直しでは、(1)比較対照技術の設定の見直し、(2)分析対象集団及び比較対照技術の設定の見直し、(3)費用対効果評価の品目指定、(4)分析プロセスの見直し、(5)価格調整の対象範囲のあり方、(6)介護費用の取り扱い―などが検討課題。厚労省は今回、これら課題の検討の方向性を論点として示した。
このうち(3)では、保険適用時に指定基準を満たさない品目を指定する際の取扱いについて、市場拡大による指定基準への該当性の確認方法を、四半期再算定の運用等を参考に検討することを提案。さらに再指定時の価格調整範囲に関して、外国平均価格調整後の医薬品等の調整範囲を参考に、価格調整前の価格に対する有用性加算等の割合とする案を示した。
また希少疾病用医薬品について、今後も費用対効果評価の対象とすることを明記。関係業界は対象品目からの除外を求めているが、厚労省はこれまで費用対効果評価の対象として運用してきた中で明らかな問題は生じていないと、業界要望を退けた。
費用対効果評価結果を踏まえた価格調整の範囲は、有用性系加算部分や営業利益部分に限定されていることから、費用対効果評価の分析対象と価格調整の範囲に不一致が生じていると指摘。このため価格調整範囲の見直しを提言している。近年は高額な医薬品の承認・保険収載が増えていることも踏まえ、(5)では費用対効果評価をより積極的に活用する観点から、高額医薬品について価格調整範囲の条件のあり方を検討することを提案した。