2024年は診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬の改定の年となります。3つの同時改定だけに注目されています。他の産業でも今、日本は人件費が上らず物価が高くなり、そのギャップで苦しんでいます。しかし、診療報酬などは自由価格ではなく政府が一定の期間に定める公的な価格です。全国の病院などの医療関係者はヤキモキしています。来年はこれまでのコロナ特需もなくなり、医療機関の70%前後が赤字になると言われているのです。だから、各医療・介護団体は厚生労働省に要望書を多く出して、なんとかしてもらいたいと必死です。
特に病院の給食については積年赤字であり、入院時食事療養費は30年近く据え置かれたままであるとして問題視しています。先日の給食委託会社の「ホーユー」問題もあり、現場は大変で、委託業者も存続できるかどうかの瀬戸際と言われています。
しかし、多くは期待できない状況にあると感じています。政府としても、コロナ対策に大きな出費をしてきているし、防衛費も米国の要請もあり50兆円もの増額とされていますし、支持率の低迷により、国民の要望にすり寄るような出費も目立つようになっているようです。財務省も早々と期待しないようにと煙幕を張っています。厚労省としても、かねてより病院や病床が多すぎるということで自然減を推奨するような言動もあり、病院の赤字を認めながらも、それを救済するように動いてくれるか、というとかなり疑問です。介護関係の事業所の倒産も増えているようです。
しかし、特に医療関係に予算を増やすことについて国民の理解が進むかというと厳しいでしょうね。病院は儲けていると思われているのでしょうね。病院側としては、せめて公共料金の上昇や消費者物価の上昇分くらいは補正してくれるだろうと思っていますが、それすら厳しいかも、とも言われています。平均在院日数の短縮や医療機能の標準化などで、現在でも入院の割合も低下しアップアップの状態です。病院がこんな状況だということは多分国民の知らないことでしょう。
しかし、倒産が続き病院が少なくなると、やがては国民に跳ね返ってくるかもしれません。せめて規範を守り、地域で国民の医療に頑張って良いアウトカムを出している病院は評価してあげて欲しいですね。そのために病院を適切に評価できる方法を示して欲しいですね。国民のために努力している病院は残れるようにお願いしたいですね。
武久洋三(平成医療福祉グループ会長)[入院時食事療養費][病院の赤字]