著: | 西岡篤志(税理士) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2024年06月12日 |
ISBN: | 978-4-7849-4985-4 |
版数: | - |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
診療科: | 医政・医療 | 診療報酬・社会保障・税制 |
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経営管理 |
第0章 インボイス制度と電子帳簿保存法
インボイス制度の概要
インボイス登録事業者が発行する適格請求書
課税事業者(原則課税)の仕入税額控除に関する経過措置
免税事業者がインボイス登録事業者になった場合の経過措置
電子帳簿保存法の概要
第1章 医師が知っておくべき税金の基礎知識
開業医にかかる主な税金の種類と特徴
所得税の基本的な仕組みを理解する
法人税の基本的な仕組みを理解する
消費税の基本的な仕組みを理解する
相続税の基本的な仕組みを理解する
贈与税の基本的な仕組みを理解する
医療業に設けられている税制上の特例
永久節税と繰延節税の違い
第2章 医業又は歯科医業を営む個人が使える節税
青色事業専従者給与を支給する
小規模企業共済に加入する
中小企業倒産防止共済に加入する
第3章 個人事業から医療法人化することによる節税
給与所得控除の効果と社会保険料の負担増を検証する
役員報酬の設定による所得税と法人税の税率差を活用する
医療法人で貯蓄して役員退職金を支給する仕組みをつくる
役員退職金の節税効果と繰越欠損金を活用する
第4章 医業又は歯科医業を営む個人及び医療法人が使える節税
青色申告承認申請書を提出し青色申告の特典を活用する
消費期限切れの医薬品等の在庫を処分する
給与等の支給額が増加した場合の税額控除を適用する
永年勤続者へ記念品又は創業記念品を支給する
役員又は従業員に対して食事を支給する
新年会・忘年会等のレクリエーションを開催する
職員慰安旅行を実施する
従業員のための社宅を借りる
従業員へ慶弔見舞金を支給する
リゾート会員権を福利厚生の目的で購入する
保養所(別荘)を福利厚生の目的で購入する
ゴルフ会員権を交際接待の目的で購入する
固定資産や消耗品等の物品を購入する
中古資産を購入する
中小企業投資促進税制又は中小企業経営強化税制を適用する
高度医療用機器の特別償却を適用する
勤務時間短縮用設備等の特別償却を適用する
構想適合病院用建物等の特別償却を適用する
使用していない資産を除却する
ホームページを制作する
壊れたままのものや古くなったものの修繕を行う
海外の学会又は病院視察等のための海外出張を実施する
翌年1年分の家賃又は保険料をまとめて支払う
医業未収金等に対して貸倒引当金を計上する
患者負担金等の未収金を貸倒損失として計上する
建物を賃借した際の保証金の償却部分を経費にする
社会保険診療報酬の所得計算の特例を選択する
消費税の簡易課税制度を選択する
第5章 医療法人が使える節税
医療法人から役員報酬を支給する
医療法人から役員賞与を支給する
医療法人から役員退職金を支給する
医療法人の特殊関係使用人に給与を支給する
医療法人の使用人兼務役員に給与を支給する
医療法人の決算時に従業員賞与を未払計上する
医療法人の役員又は従業員に出張手当を支給する
医療法人から寄附金を支払う
医療法人で役員社宅を借りる
医療法人で役員社宅を購入する
ロータリークラブ・ライオンズクラブに入会する
第6章 保険を活用した節税
福利厚生の目的で養老保険に加入する
医療法人契約で解約返戻率が高い定期保険等に加入する
医療法人契約の所得補償保険に加入する
医療法人契約で借入金対策の逓減定期保険に加入する
第7章 個人として使える所得税の節税
医療費が10万円を超えたら医療費控除を適用する
子供の国民年金保険料を支払って社会保険料控除を適用する
個人型確定拠出年金に加入して小規模企業共済等掛金控除を
適用する
個人契約の生命保険に加入して生命保険料控除を適用する
個人契約の地震保険に加入して地震保険料控除を適用する
ふるさと納税を行って寄附金控除を適用する
出身大学や子供の学校等へ寄附をして寄附金控除を適用する
仕送りをしている親を扶養親族として扶養控除を適用する
NISA(ニーサ)口座を開設し株式投資を行う
NISA以外の口座の株式譲渡損失を翌年以降に繰り越す
第8章 医療法人の相続・譲渡・解散のための節税
持分あり医療法人の出資持分を後継者に贈与する
持分あり医療法人の出資持分を相続時精算課税制度で贈与する
持分なし医療法人で相続税がかからない内部留保利益を貯蓄する
持分あり医療法人から持分なし医療法人へ移行する
認定医療法人制度を活用して持分なし医療法人へ移行する
勇退時・死亡時の役員退職金は後継者の有無で支給額を決める
解散する医療法人の役員退職金は残余財産を考えて支給する
第9章 MS法人設立による相続税の節税
MS法人を設立して親族に株式を贈与する
MS法人の不動産を借りて家賃を支払う
MS法人に不動産管理委託料を支払う
MS法人の動産を借りてリース料を支払う
MS法人に業務委託料を支払う
MS法人で不動産投資を行う
MS法人で株式投資を行う
第10章 医師が個人として使える相続税の節税
子供及び孫に暦年贈与する
住宅取得のための資金を贈与する
贈与税の配偶者控除を適用する
祖父母から孫への教育資金の一括贈与を行う
祖父母から孫への結婚・子育て資金の一括贈与を行う
養子縁組をして法定相続人を増加する
生命保険の非課税枠を活用する
贈与を受けた金銭により生命保険に加入する
賃貸用不動産を購入する
この本を手にされた方のほとんどが、勤務医の時代を経て、独立開業し、開業医になられた先生方だと思います。
開業してまず必要なことは、収入を増やして経営を安定させることですが、収入が順調に伸び、経営が安定したとき、納税額の大きさに驚かれることでしょう。
開業後は、勤務医時代の給与天引される税金とは異なり、いったん預金口座に入金された収入の中から経費や生活費を支払い、その残額から納税資金を確保しなくてはなりません。つまり、「いつ、いくら税金を払わなくてはならないか」を自身で把握していただく必要があるのです。
税負担が重く感じられたら、まずは「医療法人化」を検討されることでしょう。個人事業のままか、医療法人化するかが、節税対策の最大のポイントになります。
医療法人化せず、個人事業のまま継続するという選択肢もあり得ます。
医療法人化するにしても、設立さえすれば節税になる、という訳ではなく、医療法人の仕組みを理解し、きちんとした対策を講じなければ節税にはなりません。
また、医療法人化にあたっては、「医療法人の将来はどうなるのか」も気になります。①親族への相続、②第三者への譲渡、③解散、の大きく3つに区分できます。その時点での状況に応じて臨機応変な対応が求められますが、あらかじめ想定できることをイメージしつつ、日々の経営の中で準備しておくことが必要です。
医療法人化以外にも、医療経営に必要な税金の知識は数多くあります。
本書は、開業医である先生方のために節税のヒントをまとめたものであり、「税金のかかりつけ医」である顧問税理士との話題づくりにお役立ていただけるのではないかと考えます。
執筆にあたりましては、できる限り分かりやすく解説するよう努めましたが、至らぬ点もあるかと思います。読者の皆様がお気づきの点がありましたら、ご指摘くださいますようお願い申し上げます。
税理士 西岡篤志