厚生労働省は6月21日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」に、ポスト2025の地域医療構想に関する論点案を提示した。過去4回にわたって行った関係者ヒアリングでの意見を踏まえ、病床機能だけでなく医療機関機能に着目して医療機関の役割分担・連携を推進することや、将来の病床の必要量と基準病床数との関係の整理などを検討課題に位置づけた。
論点案は総論と各論で構成。総論部分では新構想の視点や進め方のイメージ案も示した。それによると、新構想は「地域において中長期的な将来の医療需要や医療資源等を踏まえた医療提供体制全体の将来ビジョン(方向性)」と定義。これに対して医療計画は、「(将来ビジョンを踏まえ)直近6年間の5疾病6事業に関する事項等の具体的な取り組みを定めるもの」と整理した。
新構想の進め方は概ね現行の構想を踏襲した内容になっている。まず都道府県が40年頃の病床・外来・在宅等の医療需要推計や医療従事者の確保見込みを基に地域の医療提供体制全体の将来ビジョン(新構想)を策定する。各医療機関は自院の現在の役割・機能と将来の方向性を報告(機能報告)。これを受けて地域において医療機関の役割分担・連携、病床機能の分化・連携などを協議し、都道府県で全体の調整を行う。その際、国は地域類型(大都市部、過疎地等)に対応した構想区域のあり方や医療提供体制のモデル、地域診断のデータなどを提供し、地域の実情に沿った協議が進むよう支援する―とした。
入院、外来、在宅などの各論について論点案では、①将来の病床の必要量(地域医療構想)と基準病床数(医療計画)の関係の整理、②医療機関機能に着目した医療機関の役割分担・連携の推進、③入院・外来・在宅における医療需要の将来推計は現状投影モデルや改革モデルといった複数のシナリオで行う―などを提示。構想区域のあり方では、(1)人口動態、医療資源、移動・搬送時間等を踏まえた合併・分割や複数の構想区域での合同協議など、弾力的な運用を行う、(2)かかりつけ医機能、在宅医療、医療・介護連携等は市町村単位とするなど、協議テーマに応じて重層的に構想区域を設定する―とした。
検討会ではこの論点案への反対意見はなく、概ね了承。次回以降は各論の議論に入る。