2024年6月、北海道で17歳の女子高校生を橋から転落させて殺害したとして、道警が21歳と19歳の女を殺人容疑で逮捕したと明らかにし、世間に衝撃を与えました。いまだ全容は解明されていませんが、亡くなった高校生と容疑者らは、SNS上に掲載した写真を巡りトラブルになっていたと言います。
SNSとは、Social Networking Serviceの略であり、Facebook、X(旧Twitter)、インスタグラムなどインターネットを通じたコミュニケーションツールを指します。スマートフォンと組み合わせて、「いつでも」「どこでも」「誰とでも」つながれる便利なツールとして、今や世界中で多くの人が日常的に使用しています。SNSはとても便利なツールですが、使い方を誤ると大きな問題を引き起こす可能性があります。冒頭の事件も、SNSの使用が契機となった事件の1つと言えるでしょう。
インターネット使用の若年化が進行しています。こども家庭庁の調査1)によると、子どものインターネット利用率は、0歳で既に15.7%、2歳で58.8%、8歳で92.3%に達します。インターネットの接続機器はテレビが71.2%と最多ですが、自宅用PC等50.8%、ゲーム機47.9%、スマートフォン36.2%と様々です。インターネットのコンテンツは、動画93.6%、以下、ゲーム64.7%、勉強40.0%となっており、子どもたちは言語を獲得する前の早い段階から、様々な機器(マルチデバイス)を用いて多様なコンテンツに触れていることがわかります。
さらに上の年齢では、10〜17歳のインターネット利用率は98.7%で、接続機器はスマートフォンが75.2%と最多(小学生43.7%、中学生79.9%、高校生97.8%)です。スマートフォンによる投稿・メッセージ交換(SNS)は、小学生が61.1%、中学生が84.9%、高校生が89.6%と上昇しています。
このように、スマートフォンを介したSNSは、若者のコミュニケーションに必要不可欠なツールとなっていることがわかります。
一方、警察白書2)によるSNSに起因する事犯としては、22年度で児童買春321件、児童ポルノ658件、重要犯罪として殺人3件、強制性交等49件、略取誘拐80件、強制わいせつ26件となっており、多くの児童がSNSを介して事件に巻き込まれています。特に、児童買春・ポルノは例年多数の事犯が生じていることからもわかる通り、SNSは児童と悪意ある他者をつなげるツールとしても機能しています。インターネット・スマートフォン利用の若年化が急速に進行し、本来、保護者が指導あるいはルールを決めるべき時期に適切にサポートできていないのかもしれません。
大切な子どもたちの未来を守るため、家庭における子どもたちへの指導・ルールづくりはもちろんのこと、教育現場、医療など社会全体でこの問題に対する取組・啓発を行い、皆でインターネット・SNSの使い方について一緒に考えていきましょう。
【文献】
1)こども家庭庁公式サイト:「青少年のインターネット利用環境実態調査」調査票・調査結果等(令和5年度).
https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research/results-etc/
2)警察庁公式サイト:令和5年版警察白書.
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/index.html
松﨑尊信(国立病院機構久里浜医療センター精神科診療部長)[SNS][トラブル][事件]