Ⅰ章：予防
Q1 認知症の予防は可能ですか？
Q2 予防に重要なことは何ですか？
Q3 脳ドックを受けていれば大丈夫ですか？
Q4 良いサプリメントはありますか？
Q5 運動はどの程度すればいいのですか？
Q6 青魚を食べるといいですか？
Q7 計算ドリルや書き取りは役立ちますか？
Q8 糖尿病は治療しておいたほうがいいですか？
Q9 高血圧は治療しておいたほうがいいですか？
Q10 高脂血症は治療しておいたほうがいいですか？
Q11 飲酒はやめたほうがいいですか？
Q12 喫煙はやめたほうがいいですか？
Q13 仕事は続けたほうがいいですか？
Q14 睡眠は何時間くらいがいいですか？
Q15 いびきが突然止まります。

Ⅱ章：診断
　 Q16 受診を拒むのですが，どうしたらいいですか？
Q17 最初にどこを受診したらいいですか？
Q18 診察を受けるべき最初のタイミングは？
Q19 なぜ早期診断が重要なのですか？
Q20 認知症を引き起こす病気にはどんなものがあるのですか？
Q21 認知症とアルツハイマー病は同じですか？
Q22 アルツハイマー病とはどんな病気ですか？
Q23 血管性認知症が多いと聞きました。
Q24 レビー小体型認知症とはどんな病気ですか？
Q25 前頭側頭葉変性症とはどんな病気ですか？
Q26 ピック病と前頭側頭葉変性症は同じですか？
Q27 治る認知症があると聞きました。
Q28 数カ月で死に至る認知症があると聞きました。
Q29 診断はどのようにするのですか？
Q30 血液検査で診断は可能ですか？
Q31 脳画像検査はなぜ必要なのですか？
Q32 異常はなく大丈夫と言われましたが，放っておいていいですか？
Q33 軽度認知障害と言われましたが，認知症ですか？
Q34 主観的認知機能低下と言われましたが，認知症ですか？
Q35 認知症の診断のポイントは何ですか？

Ⅲ章：治療
Q36 治療はどこで受ければいいですか？
Q37 治療する薬はありますか？
Q38 ドネペジルはどんな薬ですか？
Q39 薬以外の治療法はありますか？
Q40 治療薬の副作用はありますか？
Q41 アルツハイマー病の４種類の治療薬に違いはありますか？
Q42 アルツハイマー病の治療薬の値段はいくらですか？
Q43 先発医薬品と後発医薬品で違いはありますか？
Q44 先発医薬品を選びたいのですが，どうしたらいいですか？
Q45 後発医薬品を選びたいのですが，どうしたらいいですか？
Q46 レビー小体型認知症の治療薬はありますか？
Q47 前頭側頭型認知症の治療薬はありますか？
Q48 血管性認知症の治療薬はありますか？
Q49 行動心理症状（BPSD）の治療はどのようにするのですか？
Q50 怒ったり暴力をふるうのですが，治療薬はありますか？
Q51 元気がないのですが，どうしたらいいですか？
Q52 夕方から調子が悪くなるのですが，治療薬はありますか？
Q53 夜に寝床に入らず起きています。
Q54 夜中に起き出して騒いでいます。
Q55 ものを盗られたと怒っています。
Q56 家に帰ると言って聞きません。
Q57 徘徊が目立ち困っています。
Q58 体の動きが悪く転びやすい場合は，どうしたらいいですか？
Q59 寝たきりになっても薬は飲んだほうがいいですか？
Q60 誤嚥性肺炎を繰り返しています。

Ⅳ章：介護
Q61 妄想に周囲が振り回されています。
Q62 何かと理由をつけて，入浴をしたがりません。
Q63 年がら年中、探し物をしています。
Q64 同じことを何度も聞かれ，嘘を返す自分が嫌になります。
Q65 朝食が終わると，「会社へ行く」と言って出ていってしまいます。
Q66 夕食が終わると，「家に帰りたい」と言って落ち着かなくなります。
Q67 ゴミの分別ができなくなっても，一人暮らしは可能でしょうか？
Q68 約束しても嘘をついてとぼけ，しまいには怒り出します。
Q69 「悪いところはない」と言って，受診を拒みます。
Q70 衣服の着方を忘れてしまったようです。
Q71 認知症の徘徊は何年ぐらい続くのでしょうか？
Q72 認知症の母と旅行するときの注意点はありますか？
Q73 認知症の義父と乳幼児の育児でつぶれそうです。
Q74 料理上手だった母の料理が単一になってきました
Q75 認知症の人が車を運転するのは危険ですか？
Q76 認知症の夫が車の運転をやめようとしません。
Q77 認知症で判断能力が低下した夫が，電話の勧誘で株の売買をしてしまいます。
Q78 お金の管理ができなくなり，請求書がたまっています。
Q79 介護離職をしたほうがいいのでしょうか？
Q80 認知症の夫が，お酒がないと人にあたってきます。
Q81 嫁の私を泥棒呼ばわりします。

Ⅴ章：地域包括ケア
Q82 「認知症疾患医療センター」とは？
Q83 「地域包括支援センター」とは？
Q84 「認知症初期集中支援チーム.」とは？
Q85 「病病・病診連携」とは？
Q86 いなくなった時，110番に通報してもいいのでしょうか？
Q87 デイサービス（デイケア）に行きたがりません。
Q88 認知症の母に，身内の不幸をどのように伝えればいいのでしょうか？
Q89 施設に預けることに後ろめたさを感じています。
Q90 良いケアマネジャーの見つけ方を教えてください。

Ⅵ章：終末医療
Q91 終末期までみてくれる良い施設の見つけ方を教えてください。
Q92 認知症が重度になると，どんな状態になりますか？
Q93 食べる量が少なくなってきました。胃瘻にしたほうがいいのでしょうか？
Q94 認知症の終末期はどうなるのでしょうか？
Q95 親が介護が必要な状態になった時，どんな準備をしておけばいいのでしょうか？
Q96 後悔しない見送り方はありますか？
Q97 在宅での看取りに向けた介護のあり方を教えてください。
Q98 施設で死期が近づいていると言われました。救急車を呼んだほうがいいでしょうか？
Q99 「尊厳死」と「安楽死」について教えてください。
Q100 「尊厳のある死」とは，どのようなことを言うのでしょうか？

column
慣れ親しんだ大浴場が特効薬に
ある病院長の出勤
捜索は時間との勝負です
お酒を楽しむ習慣だけを取り入れて
　 夫の葬儀に参列させるか？
入所したから終わりではない
介護老人保健施設での看取りと医療の関係
自らの生を生き切り，死に切ったＡさん

認知症を語る時，メディアではよく海外の対策や治療法が取り上げられ，先進的な取り組みと紹介されますが，国レベルでみて，わが国が後塵を拝しているとは思えません。たとえば，高齢者に対する介護保険制
度や社会資源の整備は，諸外国よりむしろ進んでおり，手厚いものです。

また，国民皆保険制度や地域のかかりつけ医の存在も世界に誇れるものです。しかし問題は，それらの制度や資源が一般市民に周知されていないこと，また，医療・看護・介護のチームとしての連携が不十分ということではないでしょうか。
そこで，認知症の診療と介護（ケア）について，専門的立場と言うとおこがましいですが，長年の経験を活かして，かかりつけ医の先生方が受ける多くの質問について，わかりやすく解説する書籍を作りました。本書を通じて，患者さん・家族との信頼関係がより深まればと願っております。

認知症になっても人生は終わりではなく，むしろ家族間の絆が強くなることもあります。筆者は認知症の患者さん・家族から多くのことを学び，認知症の医療に携わることで，自らの医師人生をより充実させることができたと感じています。先生方と，このような思いを共有できたら，この上ない幸せです。

最後に，企画から編集までお世話になった，日本医事新報社編集局の荒井美幸さんにお礼を申し上げます。

2020年10月
アルツクリニック東京院長　新井平伊