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■NEWS 中間年薬価改定の議論を開始、診療側は実施可否も含めた検討を要請―薬価専門部会

登録日: 2024-07-23

最終更新日: 2024-07-23

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中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は717日、2025年度の中間年薬価改定に関する議論に入り、今後、関係業界からの意見聴取も交えながら検討を深めていく方針を確認した。この中で診療側は中間年改定の実施の可否も含めた議論を要請した。

25年度の中間年改定について6月に閣議決定された「骨太の方針2024」は、「イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、そのあり方について検討する」としていた。

初回の議論となったこの日、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は中間年改定の対象範囲について、市場実勢価格との乖離が大きな品目に限定するとした16年の4大臣合意の考え方を基本としつつも、「経済情勢や医療機関、薬局の経営状況も勘案しながら注意深く検討すべきだ」と主張。さらに「抜本的薬価制度改革を実現しながら適正な価格に引き下げた差額を全て国民に還元するという考えの中には、医療の質の向上への還元という意味も含まれる」とも述べ、薬価引き下げ財源の一部を診療報酬本体の引き上げに充当すべきだとの見解を示した。

また森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「25年度中間年改定は現下の状況を踏まえて実施を延期するなど、実施の可否を含めた慎重な検討が必要だ」と訴えた。

これに対して支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「物価高騰や安定供給の問題があるとしても値引き販売されている品目については、その薬価差を国民に確実に還元すべきだ」と反論。既収載品目の算定ルールでは「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の累積額控除の実施を強く求め、「24年度改革で加算の要件を緩和したことを踏まえれば、特許が切れた品目の累積額の控除は当然のことだ」と述べた。

■中間年改定に向けた薬価調査の実施案を了承

同日の部会および総会では、24年度薬価調査の実施案も了承された。通常年改定に向けた薬価調査に比べ、販売サイドの客体数は23、購入サイドは半分に規模を縮小し、薬価基準収載の全医薬品について24年度中の1カ月間(例年9月)の取引状況を把握する。調査客体数は、①医薬品卸売販売業者=約4400客体、②病院=約200客体、③診療所=約260客体、④薬局=約520客体。例年、12月初旬の総会に調査結果の速報値が報告される。

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