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【識者の眼】「支援団体等連絡協議会は『標準化』を進める意見交換の場ではない」小田原良治

No.5234 (2024年08月17日発行) P.66

小田原良治 (日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長)

登録日: 2024-08-01

最終更新日: 2024-08-01

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2016(平成28)年6月24日、厚生労働省から省令と通知1)2)が発出され、医療事故調査制度が見直された。この中に、支援団体等連絡協議会に関する記載があり、次のように述べられている。「各支援団体等連絡協議会は、法第6条の10第1項に規定する病院等(以下、「病院等」という)の管理者が、同項に規定する医療事故(以下、「医療事故」という)に該当するか否かの判断や医療事故調査等を行う場合に参考とすることができる標準的な取り扱いについて意見の交換を行うこと」。

この規定は、当時、筆者らが厚労省担当者と詳細に意見交換を行って練り上げた文言である。この条文に記載されているように、「医療事故に該当するか否かの判断や医療事故調査等を行う場合に参考とすることができる標準的な取り扱いについて意見の交換を行う」ものであり、「標準化」のために意見交換を行うのではない。あくまでも医療事故該当性について意見の交換を行い、医療事故調査を行う際に参考となるような「標準的な取り扱い」があれば、支援団体等連絡協議会で意見の交換を行うのである。言い換えれば、「標準的な取り扱い」があれば、医療事故調査を行う際に参考となるので支援団体等連絡協議会で意見の交換を行うのである。決して「標準化」をめざすのではない。あくまでも、医療事故該当性の判断については、病院等の管理者が行うものである。

このことは、条文の次の一節を見れば明確である。前記条文に続いて、なお書きで、「なお、こうした取り組みは、病院等の管理者が、医療事故に該当するか否かの判断や医療事故調査等を行うものとする従来の取り扱いを変更するものではないこと」と記載されているのである。

この条文は短文であり、要約を必要としない明確なものであるが、あえて要約の形をとった誤った解説があるようである。「医療事故に該当するかの判断や院内調査の方法等の標準化を進めるため、支援団体や医療事故調査・支援センターが情報や意見を交換する場として、支援団体等連絡協議会を制度的に位置づけ」たとする解説は根本的な誤りである。法律条文に「標準化」を進めるとの記載はどこにもないのである。

【文献】

1)厚生労働省医政局長通知:医政発0624第3号. 医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について.(平成28年6月24日)

2)厚生労働省医政局総務課長通知:医政総発0624第1号. 医療法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う留意事項等について.(平成28年6月24日)

小田原良治(日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長)[医療事故調査制度][通知][標準的な取り扱い]

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