【概要】厚労省検討会は12日、「地域医療構想策定ガイドライン」について大筋で了承した。機能区分の境界点は、高度急性期と急性期が3000点、急性期と回復期が600点となった。
厚労省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(遠藤久夫座長)は12日、厚労省の示した「2025年の医療需要」「4つの医療機能の必要量の推計方法」「病床機能報告制度の報告情報に関する公表のあり方」について了承した。これまでの議論を踏まえた「地域医療構想策定ガイドライン(案)」についても大筋で合意。次回会合で取りまとめを行う方針だ。
●高度急性期は3000点が目安
医療需要の推計方法については、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの機能区分ごとに行う。各区分の医療資源投入量は、患者1人1日当たりの診療報酬から入院基本料を除いた点数が目安となる。各区分の境界点は「高度急性期」と「急性期」が3000点、「急性期」と「回復期」が600点、「回復期」と「慢性期」が225点。高度急性期の3000点は、「救命救急病棟やICU、HCUに加え、一般病棟等で実施するような重症者に対する診療密度が特に高い治療から、一般的な標準治療へ移行する段階における医療資源投入量」と定義された。
この基準で機能区分ごとの推計入院患者数を算出。それを病床稼働率で割り戻して、2次医療圏を原則とする2025年の構想区域ごとに病床の必要量を推計する。病床稼働率は「高度急性期」が75%、「急性期」が78%、「回復期」が90%、「慢性期」が92%に設定された。
●慢性期、区域ごとに推計方法を判断
これまで調整が難航していたのは「慢性期」の医療需要の推計方法について。2025年までに在宅医療等への移行が進むことを想定し、在宅と一体的に推計するが、療養病床の入院受療率に約5倍の差があり、在宅への移行をどの程度見込むかが争点となっていた。厚労省は、(1)すべての2次医療圏が、全国最小値(県単位)まで入院受療率を低下させる、(2)最も入院受療率が高い2次医療圏を全国中央値(県単位)にまで低下させ、他医療圏についても、中央値と最小値の間まで等比的に低下させる─の2案を提示。各構想区域がいずれかを判断する形で決着した。
一連の推計は、DPCやNDB(レセプト情報・特定健診等データベース)のデータなどを基に、全国一律で行う。これまでの会合で指摘のあった、「地域ごとに区分の目安となる医療資源投入量や病床稼働率が異なる」との点については、地域医療構想で医療提供体制を描く段階において各都道府県で推計を基に判断し、反映させる形をとる。
会合ではこのほか、病床機能報告制度で報告される情報の公表のあり方について、公表範囲を、(1)構造設備や人員配置等に関する項目は原則すべて、(2)具体的な医療の内容に関する項目は原則大項目のレセプト件数のみ─とすることで了承。情報は都道府県がホームページなどを活用して公表する。
【記者の眼】地域医療構想策定GLが次回会合でまとまる見込みだ。2025年の病床必要量の推計について、医療関係者の多くは地域の病床数の上限設定につながる恐れがあると懸念する。厚労省は「削減ありきではない」としているが、現状より病床数が増える地域はあるのか。推計結果が待たれるところだ。(T)