がん細胞の遺伝子変異によって生じるがん特異的抗原(ネオアンチゲン)に基づく個別化がんワクチンの開発に取り組むNECは8月28日、東京・港区の本社で記者勉強会を開催し、開発状況や実用化に向けた展望を説明した。
NECが開発を進めるワクチン(個別化ネオアンチゲンがんワクチン)は、同社独自のAI技術を用いて患者固有のネオアンチゲン配列を予測し、それに基づいて患者ごとに設計・製造するがん治療用ワクチン。
現在、バイオテクノロジー企業トランスジーン社と共同で、HPV陰性の頭頸部がん患者を対象とした個別化がんワクチン「TG4050」の臨床試験を第1/2相まで進めており、標準的な補助療法終了後の追加治療としてTG4050を投与した治療群の患者16人全員が2年以上無再発状態を維持したことなどを今年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表した。
28日の勉強会でAI創薬統括部プロフェッショナルの小野口和英氏は、トランスジーン社のウイルスベクターをモダリティとする注射剤のTG4050のほかに、NEC単独でバクテリアベクターをモダリティとする経口剤の個別化がんワクチン「NECVAX-NE01」の臨床試験も乳がん患者などを対象に進めていると説明。
これらの個別化がんワクチンは「我々のAI予測が製剤の一部になっている。予測が当たれば当たるほどがんが治る確率が上がっていく」と述べ、AI技術を持つNECが創薬に関わることの意義を強調した。
予測からワクチン投与までの期間については「品質検査もあるので今は数カ月かかるという状況。これを短縮して1カ月にすることを目標としている」と説明。AI創薬統括部長の北村哲氏は、製品化のメドについては「まだお答えできない」としながら、「ビジネスモデルとして最後は製薬会社に引き取っていただき、開発を継続いただこうと考えている」と述べた。
NECが創薬に関わることの意義を強調する小野口氏