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在宅医療に焦点の厚労省会議が初会合 - エビデンス蓄積や普及啓発を検討 [全国在宅医療会議]

No.4812 (2016年07月16日発行) P.11

登録日: 2016-07-16

最終更新日: 2016-12-08

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【概要】在宅医療の推進に向けて医療・介護関係者が議論する厚生労働省の全国在宅医療会議が6日、初会合を開催した。在宅医療のみに焦点を当てた有識者会議を厚労省が設置するのは初めて。在宅医療のエビデンス蓄積や国民への普及啓発などについて検討する。


全国在宅医療会議のメンバーは職能団体や事業者団体、研究機関や学会の代表など34名で構成。座長には大島伸一氏(国立長寿医療研究センター在宅医療推進会議座長、同名誉総長)が、座長代理には新田國夫氏(日本在宅ケアアライアンス議長)がそれぞれ選出された。
厚労省の椎葉茂樹審議官(医政担当)は冒頭の挨拶で「地域医療構想の実現と地域包括ケアシステム構築の鍵は、両者の接点の在宅医療にある。社会全体で在宅医療を推進していくため、在宅医療提供者、学術関係者、行政が三位一体となって提供体制整備や国民への普及啓発を進めていく」と述べた。

●WGで「重点分野」検討
6日の会合で厚労省は、在宅医療推進のための基本的な考え方として(1)関係者が一体となって対策を展開、(2)国民の視点に立った普及啓発、(3)在宅医療のエビデンス蓄積を推進―の3点を提示。これまで在宅医療の具体的な効果が国民に十分示されてこなかったとして、エビデンスを蓄積し国民に発信することが重要だと説明した。併せて、在宅医療の推進に向けて重点的に対応すべき分野を検討する「重点分野策定ワーキンググループ(WG)」を同会議の下に設けることも提案し、いずれも了承された。
9月以降にWGを設置して検討を重ねた上で、来年3月に第2回の会合を開き、重点分野を確認する予定。在宅医療は医療計画で数値目標の記載が求められるが、2018年度からの次期医療計画には作成スケジュールの都合上、同会議の議論は反映されない見通しだ。
重点分野の具体例として厚労省が示したのは、「在宅医療の特性を踏まえた適切な臨床評価指標」と「普及啓発のあり方」。構成員からは、重点分野にすべきテーマとして「緊急ショートステイ」「へき地を含めた看取り」「病院の医療従事者に対する啓発」「望ましくない人工栄養の問題」「小児や若年成人の在宅医療」「訪問看護師の確保」などが挙がった。

●地域別データが公開
厚労省は同日、既存の統計から在宅医療に関する数値をまとめた地域別のデータ集をホームページで初めて公開した。同省は「在宅療養支援診療所(在支診)は多いが自宅死の割合は低い地域がある一方、在支診はないが自宅死の割合が高い地域もあった」と指摘しており、詳細な分析が期待される。

【記者の眼】
厚労省のWGで具体的な課題ではなく、「重点分野の策定」がテーマになることは珍しい。論点が多岐にわたる在宅医療で、WGが何を重点分野に定めるかが注目される。(K)

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