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「早ければ臨時国会で医療基本法の成立目指す」 [日医・今村常任理事]

No.4813 (2016年07月23日発行) P.11

登録日: 2016-07-23

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日本医師会は13日、会内で検討を重ねていた、(1)医療基本法(仮称)に基づく医事法制の整備、(2)医療事故調査制度における医師会の役割─についての最終答申をそれぞれ公表した。
(1)は日医が医療関連法の“親法”として策定した「医療基本法」の条文案について、医療法や医師法など“子法”との関係性の整理を主な目的に検討していたもの。最終答申では、条文案に医療提供者の義務や患者の権利が明示されていることを踏まえ、「医療の不確実性」への言及や「裁判規範性の否定」を担保するべく同法が“理念法”であることを盛り込んだ「前文」が追加された。
会見した今村定臣常任理事は最終答申を踏まえ、医療基本法案について「早ければ秋の臨時国会での成立を目指したい」との考えを示した。
一方、(2)は昨年10月に開始した医療事故調査制度における院内事故調査と支援のあり方について、日医の基本的な考え方と手法をまとめたもの。昨年8月の第二次中間答申からの主な変更点は調査報告書の作成手順について。関係者からの事実関係の指摘は重要なことが多いため、医療機関の関係者からの指摘で「報告書案の誤りを修正」するケースもあるとの見解を示した。なお、日医は今年2月に異状死体の届出を定めた医師法21条改正案(用語解説)を公表したが、その内容は今回の最終答申には反映されていない。
今村常任理事は「医療界全体の調査能力を向上させ国民の信頼を高めていくことが日医に与えられた課題」とした上で、最終答申を「医療事故調査制度の研修における実践的資料として活用してほしい」と述べた。


●用語解説
【医師法21条改正案】
日医は今年2月に、医師法21条について異状死体の届出を巡る解釈の混乱を防ぐ目的から、届出対象を「犯罪と関係ある異状」と変更する改正案を臨時答申としてまとめた。21条の立法目的は、犯罪捜査の端緒を警察に提供するという公益上の要請から医師に課せられたものと位置づけている。

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