【Q】
リンパを淋巴と書くのはなぜですか。そのほか,音訳して漢字に置き換えた医学用語にはどんなものがありますか。 (兵庫県 K)【A】
日本に近代的な西洋の解剖学を伝えた初期の訳書として,『医範提綱』(宇田川玄真,1805年)などが知られています。同書では,今日言うリンパ管を「水脈」,リンパ液を「水液」と呼称し,身体全体を栄養する役目を果たすととらえています。これらの呼称は,神経系が「霊液」の流動によって作動するという当時の西洋医学の「霊液説」に基づくものですが,中医学の基礎となった古代中国の医学書『黄帝内経』の影響もみられます。『黄帝内経』では自然界を流れる河水が,身体の経絡にも脈々と連なっていて,全身を栄養しているととらえています。