2024年度上半期をメドに刷新される新千円札の図柄に、世界的細菌学者の北里柴三郎の肖像が採用されたことを受け、日本医師会の横倉義武会長は10日の定例会見で、「大変喜ばしい」と歓迎した。野口英世から2代続けて千円札に医師が取り上げられたことについては「医療が社会にとって不可欠であることの裏づけだと思う。医師としての責任の重さを感じる」と語った。
北里柴三郎は、破傷風の血清療法の確立やペスト菌発見などの功績で知られる。予防医学の発展と衛生思想の普及に努め、大日本医師会(日本医師会の前身)の初代会長を務めるなど、数々の医療団体の創設にも携わった。
日本医師会館(東京都文京区)の北里柴三郎記念像の前で会見した横倉氏は、「北里先生は『予防医学の確立が近代化である』という言葉も遺している。日医は先生の志を受け継ぎ、治療主体の医療のみならず、予防・健康づくりにも力点を置いて健康長寿社会の実現に尽力したい」と強調した。
新千円札については、北里柴三郎を学祖とする北里大(伊藤智夫学長)と北里研究所(小林弘祐理事長)が9日、「大変名誉なこと」と喜びを表明。北里柴三郎が伝染病研究所設立の際に福澤諭吉(現・一万円札)の支援を受け、野口英世(現・千円札)を指導した歴史から、「何かのご縁と感じます」とコメントしている。