2016年ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった大隅良典東京工業大栄誉教授が21日、横浜市で開かれた第54回日本癌治療学会学術集会で、受賞対象となったオートファジー(細胞内のリサイクル機能)の仕組みについて講演した。
講演で大隅氏は、「オートファジーは、異常になったり、不要、有害なたんぱく質を除去する機能が大事で、神経変性疾患やがんなどに大きな影響があることが分かってきた」と解説。近年では世界で毎年5000報ほどオートファジーに関する論文が発表されていることを紹介する一方、「まだまだ非常に発展途上の領域」と指摘した。
臨床応用に向けては、「1つ1つ丹念にいろいろな細胞の代謝との関係を明らかにすることなしには、病気の問題になかなかアプローチできないと思う」と述べ、「たくさんの方にオートファジーにもっと関心を持ってもらい、実験結果を集積することが大事」と強調した。