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必要な医師偏在対策は?【聞かせてください!現場のホンネ】(67)  

No.4833 (2016年12月10日発行) P.21

登録日: 2016-12-02

最終更新日: 2016-12-02

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医師の地域間の偏在、診療科間の偏在は長年指摘されている課題。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」などで現在、医師偏在の解消に向けた議論が行われています。今回は医師偏在に関する先生方のご意見を伺いました。


今回は73人の先生にご回答いただきました。

医師需給分科会で医師偏在に向けて今後検討すべきとされた主な対策などのうち、必要性が高いと考えるものを尋ねたところ、最も多かったのは「医学部の地域枠の見直し」(28人)でした。「医師の選択の自由は奪えない。地域枠しか偏在を救えない」(福島・外科)、「地方の公立病院の医師不足が目立つので地域枠の先生に行ってもらえればありがたい」(和歌山・内科)など、地域枠への期待が寄せられました。

2番目に多かったのは意外にも、規制的手法である「保険医の配置・定数の設定や自由開業・自由標榜の見直し」(23人)。「医療保険制度下で働く者は公的責任を負うので自由が制限されるのはやむを得ない」(新潟・精神神経科)などのご意見がありました。

「臨床研修の募集定員で配分を調整」(22人)、「総合診療医の育成」(21人)にも多くの支持が集まりました。「専門分化が進んで医師不足がますます顕著になると思う。総合診療を経てから専門医になるシステムが望ましい」(千葉・外科)とのご指摘が複数の先生から寄せられました。

次いで「専門医制度で診療科、地域ごとの枠を設定」(17人)、「医師の勤務状況・診療行為情報のデータベース化」(16人)、「フリーランス医師への対応」(11人)、「大学などが医師の異動を生涯把握する仕組み」(10人)となっています。同じ規制的手法でも「特定地域・診療科での診療従事を医療機関の管理者の要件に導入」は9人と少数にとどまりました。最も少なかったのは「医学部の定員増」(5人)でした。

医師偏在に対する見解としては「医師が集まりづらい地域・診療科には補助金などの手当を多くすべき」(大阪・放射線科)、「お金をかけずに済ませようとするから難しくなる」(岡山・内科)など、医師不足の地域・診療科に対する報酬や補助金などの増額を求めるご意見を数多く頂戴しました。

一方、「医師がより高度な医療を身につけたいと思うと、都市部への偏在はやむを得ない」(群馬・耳鼻科)、「子どもの教育が十分できない地域へは行きたくない。給与の問題だけでは解決しない」(兵庫・内科)というご指摘も。「地方に、医師としても人としても魅力を見いだせないと偏在は解消しない」(大阪・内科)として、解決は困難とのご意見が多数寄せられました。

このほか、「大学医局を崩壊させたのが失敗だった」(長崎・外科)などの声もありました。

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