全国医学部長病院長会議は5月26日に会見を開き、新専門医制度に関する懸念を表明した全国市長会の緊急要望(用語解説)に対する反論を、塩崎恭久厚生労働相に提出したと発表した。
同会議の反論では、卒後2年間の初期臨床研修だけでは一人前の医師としての診療能力は身に付かないとして、卒後3~5年間の専門研修を経ることで医療の質が担保されると指摘。大学は地域医療の重要な担い手であり、若手医師や女性医師のキャリア支援も積極的に行っているとしている。
会見で新井一会長(順天堂大)は、全国市長会の認識について「大学医学部を未だに“白い巨塔”のイメージで捉えて誤解している」と指摘した。
新専門医制度を巡っては、日本専門医機構が6月にも整備指針を改正し、専門医取得は義務ではないことを明記する方針を示している。これに関して、同会議の島田眞路氏(山梨大)は「2年間だけで研修を終えてしまうと質の低い医師が量産されかねない。患者を診る医師になるのであれば、基本領域のいずれかできちんと研修を受けてほしい」と述べた。
全国市長会に対しては、国立大学医学部長会議も反論を行っている。