40歳代,女性。嚥下困難感,胸痛。
胸骨突起から左肋骨弓下に沿ってプローブを置き,そこから左上方に向かって扇動して得られた画像である。
▶腹部食道の管腔の拡張。
▶食道胃接合部近傍の下部食道の軽度の肥厚。
▶内腔の不整や壁外に浸潤するような強い肥厚は認められない。
▶嚥下時の食道胃接合部の弛緩の欠如,下部食道の蠕動運動の欠如。
▶嚥下障害やつまり感を訴える症例では,腹部食道から噴門部の観察を怠らないように注意する。
▶超音波による下部食道の肥厚の程度や性状を評価することが重要である。
▶下部食道の狭小化の原因として腫瘍,壁外からの圧迫などを鑑別する必要がある。
▶食道アカラシアの場合は壁外の変化には乏しく,癌のように内腔の不整や強い壁肥厚はみられない。
▶層構造上,固有筋層の肥厚はみられるが進行癌のような層構造の消失は認めない。
通常健常者では下部食道が残渣で充満し拡張していることはない(図2)。