□全身状態が悪ければ,ABC(気道,呼吸,循環)の評価と蘇生を行いながら評価を進める。
□活動性出血は,輸血より止血を優先する。
□新鮮吐血であれば,上部消化管からの出血を疑って緊急内視鏡の適応になる。
□下血に対しても,活動性に鮮血の下血がみられる場合以外は,まず上部消化管出血を否定する。
□出血のリスクを高める病歴:肝硬変(食道静脈瘤のみならず潰瘍のリスクでもある),嚥下困難,手術歴(消化管の手術歴があれば吻合の形態も把握),腹部大動脈瘤(十二指腸との瘻)など。また,心房細動,冠動脈疾患,脳血管疾患等の,抗血小板薬,抗凝固薬の適応となる病歴に注意する。
□出血のリスクとなる薬剤:ステロイド,NSAIDs(消化性潰瘍,憩室出血),抗凝固薬などの服用歴を聴取する。ただし,抗凝固薬を止めるときは突然死するリスクがあるので,処方した医師に一報の必要がある。
□消化性潰瘍の存在を疑わせる薬剤:H2受容体拮抗薬,プロトンポンプ阻害薬がある。
□痛みもなく生じた下血は憩室出血を疑う。また,下血に腹痛を伴う場合は炎症の存在を疑う。下血を伴う急性発症の腹痛は,虚血性腸炎を否定しなければならない。
□バイタルサイン(呼吸回数,脈拍,血圧,体温)をとり,意識レベルを評価する。
□呼吸回数は必ず数える。患者と同じように呼吸してみると呼吸の異常を大まかにとらえることができる。
□血圧が低下する前からショック(出血性ショック)の病態は生じている。血圧が低下するのはⅢ度の出血性ショックである。末梢血管の収縮,発汗,頻呼吸など交感神経の亢進症状を見逃さないようにする。
□呼吸と循環が不安定であれば,応援を要請する。呼吸,循環動態の維持にマンパワーが必要な場合,経動脈的塞栓術などの特殊な止血を要する場合など,自施設では手に余る場合には,集中治療室を持つ施設に転送を考慮する。
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