□ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)が,鼻腔,咽頭や喉頭に飛沫感染することによって生じる上気道粘膜疾患である。感染,増殖した菌から産生された毒素により心筋炎などの全身症状が起こった場合,致命率が5~10%と高くなる。
□わが国での発生の報告は,ワクチン接種の普及のため1999年が最後であるが,重要な疾患である。
□2~5日の潜伏期間の後,病態により症状が異なる。
□鼻ジフテリア:発熱,血の混じった鼻汁,前鼻孔のびらん。
□咽頭ジフテリア:発熱,咽頭痛,嚥下時痛,頸部リンパ節腫脹。
□喉頭ジフテリア:発熱,犬吠様の咳,嗄声,呼吸困難。
□上気道以外のジフテリアとして,皮膚,結膜,陰部などに感染することがある。
□産生された菌対外毒素によって局所の組織が障害され,滲出物と白血球からなる偽膜を形成する。咽頭などに付着する偽膜は灰白色で厚い。剥離しにくく,剥離に際し容易に出血する。
□確定診断は,偽膜からの塗抹標本および培養検査によるジフテリア菌の検出であり,ナイセル染色により2個以上の異染小体を有する菌を多数同定した場合,ジフテリア菌を疑う。
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