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レジオネラ症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
比嘉 太 (沖縄病院呼吸器内科統括診療部長)
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  • ■疾患メモ

    レジオネラ(Legionella)は人工環境中に広く分布し,ビル冷却塔水や病院・ホテル・住居等の給水・給湯系が感染源として重要視されている。レジオネラは集団発生例のみではなく,散発的に発生する市中肺炎および院内肺炎の起炎菌としても重要である。

    感染症予防法において,レジオネラ症Legionella infection(Legionellosis)は4類感染症として位置づけられ,全数報告対象疾患である。レジオネラ症の報告総数は増加傾向にあり,2015年には1000例あまりが報告されている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    レジオネラ症の主な病型は,ポンティアック熱型と肺炎型である。肺炎を認めず発熱および頭痛を主徴とするポンティアック熱型は,予後良好である。

    肺炎型の潜伏期間は2~10日間で,突然の高熱や呼吸器症状で発症する。肺炎球菌性肺炎と比較すると,①先行する上気道炎症状を認めないことが多い,②咳,膿性痰,胸痛は比較的少ない,③呼吸器症状以外の症状(消化器症状,意識障害など)が比較的多い,という特徴がみられる。

    【検査所見】

    血液検査では低ナトリウム血症,低リン血症を認めることがある。横紋筋融解症,急性腎障害などを合併することがある。

    胸部X線像では大葉性肺炎像や多発性病変を呈することが多く,時に胸水の合併が認められる。胸部CTでは,非区域性に進展するconsolidationとその周囲のすりガラス陰影が特徴である。

    臨床検体中のレジオネラはグラム染色にて染色されないため,その検出にはヒメネス(Gimenez)染色などが必要である。本菌の分離培養にはpH緩衝剤と活性炭を導入したbufferd charcoal yeast extra-α(BCYE-α)培地や,これに抗菌薬を含有する選択培地〔Wadowsky-Yee-Okuda(WYO),modification of Wadowsky-Yee(MWY),buffered cefamandole-polymyxin B-anisomycin(BMPA)など〕を用いる。

    特異抗体を用いた直接蛍光抗体法による検出は迅速に行える確定診断法のひとつであるが,判定に熟練を要する。間接蛍光抗体法による血清抗体価測定ではペア血清による診断が望ましい。

    L.pneumophila SG1を対象とする尿中抗原検出法の臨床的な有用性が確認され,現在広く用いられている。尿中抗原検査は発症極初期などには偽陰性を示す例,肺炎治癒後も陽性が長期間持続する例があることに留意する。L.pneumophila血清群1以外のレジオネラ菌種や血清群による肺炎は3割程度存在するとされ,その診断には菌分離培養,あるいはレジオネラ属すべての菌種を検出する特異的遺伝子検出を行う必要がある。後者としては,ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法やloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法が開発されている。

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