□1976年にアフリカ中央部で見出されたエボラウイルス(フィロウイルス科エボラウイルス属)による致死率の高い(30~90%)急性発熱性疾患である。アフリカの熱帯雨林に生息する野生動物がウイルスを保有し,患者の血液・体液を介してアウトブレイクが発生することに特徴がある。
□これまでに20回を超えるアウトブレイクが報告されているが,2013年末から約2年間続いた西アフリカにおける過去最大の流行は2万8000人以上の患者報告を記録した。
□わが国では一類感染症に指定されており,患者への入院勧告・措置を含めた行政対応が感染症法により定められている。
□患者発生地が重なる類似疾患にマールブルグ病があり,マールブルグウイルス(フィロウイルス科マールブルグウイルス属)が病原体である。
□約7日間(1~21日間)の潜伏期があり,発熱,倦怠感,筋肉痛などを伴って発症する(前駆期)1)。数日後に腹痛,嘔吐,下痢などの消化器症状が目立つようになることが多い(消化器症状期)。咽頭痛,嚥下痛,腹痛,発疹も認めやすい症状である。発症7日を過ぎると,急性腎障害,出血症状,意識障害を認め,死亡する場合もある(臓器不全期)。発症後3週間程度で回復した一部の患者に倦怠感,関節炎,ぶどう膜炎などが遷延する場合がある。
□有熱期には患者の血液から病原体遺伝子を検出することで確定診断する。回復期には抗体検査を実施する。いずれも国立感染症研究所に依頼することができる(通常は保健所を介した行政検査として実施される)。血小板数は低値を示すことが多い。AST,LDH,CKは発症7日前後をピークに高値を示すことが多い。血清クレアチニンが高値の症例は予後が悪い。DIC様の凝固異常を認める。血中ウイルス量(104~1010コピー/mL)は致死率と相関し,発症から3週間以内に検出しなくなることが多い。
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