□破傷風の症状は,破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する破傷風毒素(テタノスパスミン)による筋痙縮が主体である。診断した場合は,7日以内に保健所へ届け出る(5類感染症全数把握疾患)。
□わが国での破傷風の報告は2011年,12年,13年でそれぞれ118,118,128人であった1)。
□破傷風菌は,偏性嫌気性の芽胞を形成するグラム陽性桿菌である。芽胞は,土壌,塵埃中などに存在する。受傷機転により芽胞が体内に侵入すると栄養型菌となり,テタノスパスミンを産生する。テタノスパスミンは神経毒であり,呼吸筋などを麻痺させる。
□刺創,裂創,挫創,転倒,熱傷などで受傷後,3日~3週(平均7日)の潜伏期を経て,全身の違和感や開口障害で発症する。しかし,創傷部位が不明の症例も少なくない。一般に発熱はない。
□強直性痙攣がみられないような軽症例もあるが,多くは表1のように進展する2)。開口障害が出現してから強直性痙攣に至る時間をonset timeと呼び,48時間以内の者は予後が悪い。
□血液検査で破傷風の診断はできない。
□創部,切除組織の嫌気培養により,グラム陽性桿菌(棍棒状,太鼓バチ状)を認める。
□合併症がなければ白血球数正常~軽度上昇,CRP軽度上昇。
□血清トランスアミナーゼ正常~軽度上昇,CK上昇。
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