編著: | 瀬良 誠(福井県立病院 救命救急センター 医長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 220頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2018年03月05日 |
ISBN: | 978-4-7849-4750-8 |
版数: | 1 |
付録: | - |
近年,ポイントオブケア超音波(point-of-care ultrasound:POCUS)は臨床面<と教育面からその有用性が認識され始め,急速な広がりをみせています。
POCUSは安全,低コストであり,ベッドサイドですぐに利用できます。また,ポータブル超音波装置の性能の向上により,小型軽量化,高画質化が進み,救急室や集中治療室のみならず,プライマリケアや在宅医療の現場でも超音波の果たす役割は非常に大きくなっています。病歴聴取,身体診察とともに施行できるため,患者さんの診療方針決定や処置をタイムリーに行うことが可能です(良いことずくめ!)。従来であれば大変忙しい外来の中で,バイタルサイン確認後,ルート確保して,血液検査,X線撮影,その結果をイライラしながら待ち,その結果によってはCTへ,そして診断,治療(あるいは直ちに紹介)と診療が流れていき,場合によってはその各種検査結果を待っている間に患者さんが急変してそれどころではなくなったり…,といった経験がみなさん一度はあると思います。この診断・治療までの一連の工程を,いかに迅速に,そして的確に行うことができるかということが,患者さんのアウトカムにも反映されるため非常に重要視されるわけです。この従来の流れでいくと,診断・治療までに大変な時間を要します。
一例を挙げますと, 気胸の診断あるいは除外をみなさんはどのようにされていますか? おそらく,胸部X線をオーダーしてその結果を待って…。でも,胸部X線の気胸診断における感度は,実は50%しかないって知っていますか? 一方で,エコーの感度はなんと90%です。しかも,胸部X線はオーダーして確認するまで平均20分かかりますが,エコーだとわずか2分です! 特異度はどちらもほぼ100%ですので,胸部X線施行後に「気胸ですね!」と得意顔で言ってもらって構いませんが,「気胸ではないですね」と言ってしまうとどうですか? もしかしたら,見逃しているかもしれませんよね。ほら,少し不安になってきたでしょう?「そう言えば昨日の患者さん帰しちゃったけど…」なんて具合にね。
でも大丈夫です,ぜひ本書をチラ見してください。同じように困ったり不安になったりしてきた新進気鋭の先生方が,その経験をふまえて執筆してくれました。どこを読んでも必ず役に立ちますよ! POCUSが有用な部位は多く,心,肺,血管,胆囊,腎,筋,骨,眼球など全身に及びます。どうですか?「ちょっと学んでみようかな♪」
と,少し興味を持っていただけましたか? それでは一緒にみていきましょう!明日からの診療の一助になれば幸いです。
2018年2月 瀬良 誠
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。