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患者管理を支える心不全治療チームのための Destination Therapy教本

いまわかるDTのすべてがこの一冊に。

定価:7,150円
(本体6,500円+税)

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編: 筒井裕之(国際医療福祉大学 副学長・教授)
判型: B5判
頁数: 272頁
装丁: カラー
発行日: 2025年04月12日
ISBN: 978-4-7849-0189-0
版数: 初版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

重症心不全の治療のひとつの選択肢として発展してきたDTが2021年に保険収載されました。保険収載から約4年。症例を重ね、知見が蓄積されてきた今、その知識をまとめたのが本書です。
本書ではまず、DTに至るまでの人工心臓の歴史をはじめ、関連のガイドラインの情報をコンパクトに整理。次に、DTに関わるうえで、絶対に知っておかなければいけない、周術期管理、遠隔期の管理・合併症対策、在宅管理についてまとめています。最後に、DT患者の在宅・訪問診療の実際や、その課題などを整理しています。
本書を読めば、現時点でわかっているDTのすべてがわかります。

診療科: 内科 循環器内科

目次

第1章 心不全治療としてのDTを知るための基礎知識
1日本における補助人工心臓治療の歩み 許 俊鋭
2日本における心臓移植の現状 澤 芳樹
3最新の心不全診療ガイドライン 佐々木 駿,坂田泰史
4植込型補助人工心臓ガイドライン 小野 稔
5HeartMate 3TMの特徴とエビデンス 戸田宏一

第2章 DTの適応と実施体制
1適応患者・報告制度 中村牧子, 絹川弘一郎
2施設・医師認定制度 布田伸一
3DTによる心不全治療のパラダイムシフト 波多野 将
4施設間連携とその課題 西村 隆

第3章 植え込み手術および周術期管理
1術前管理 奥村貴裕
2植え込み手術と術中管理 藤野剛雄,牛島智基,塩瀬 明
3周術期管理と合併症対策 松宮護郎
4術中麻酔管理 前田琢磨

第4章 遠隔期管理と合併症対策
1脳合併症 細山勝寛,齋木佳克
2感染症(植込型左室補助人工心臓ドライブライン・ポンプポケット感染症) 西中知博
3右心不全 菊池規子
4消化管出血 藤野剛雄
5大動脈弁閉鎖不全症 網谷英介
6不整脈 塚本泰正
7再手術 藤田知之

第5章 在宅管理
1在宅復帰訓練(患者教育・ケアギバー教育) 櫛引勝年
2在宅での心不全セルフケア 秋場美紀
3ドライブライン管理 金萬仁志
4在宅機器管理 柏 公一
5地域連携と緊急時対応 定松慎矢
6リハビリテーション 天尾理恵
7社会復帰・就労支援 八木田美穂
8緩和ケアとアドバンス・ケア・プランニング(ACP) 佐藤琢真,安斉俊久
9患者と介護者の心理的サポート 豊沢真代

第6章 今後の展望と課題
1わが国におけるDTの将来と課題 東 晴彦,山口 修
2ICTを用いた遠隔管理 朝倉陽香
3オンライン機器教育の取り組み 吉田幸太郎
4ICTを用いた在宅心臓リハビリテーション 永富祐太
5VAD患者に対する訪問診療の現状と課題 松浦良平
6VAD管理における在宅医の役割 肥後太基
索 引

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序文

 薬物治療および非薬物治療の飛躍的な進歩により,心不全患者の生命予後は着実に改善してきました。しかしながら,多くの心不全患者は増悪による再入院を反復し,予後の改善は十分とはいえません。特に,重症心不全に対しては心臓移植が治療選択肢のひとつですが,適応とならない患者も数多く存在します。このような患者の生命予後は極めて不良ですが,植込型左室補助人工心臓(LVAD)によって劇的に改善することができます。
 心臓移植へのブリッジ目的(bridge to transplantation:BTT)のLVAD治療に対して,移植を前提としないLVAD治療は,「Destination therapy(DT)」と呼ばれ,長期在宅補助人工心臓治療と訳されています。DTによって,生命予後が改善されるのみならず,自宅退院,さらに社会生活を送ることができるようになり,生活の質(QOL)も大きく改善します。米国ではDTが2010年に承認されて以降急速に普及し,植込型LVADの80%をDTが占めています。長期にわたる予後改善効果も証明されており,DTは重症心不全治療における重要な選択肢となっています。2011年にBTTとして始まったわが国におけるLVADによる治療も,2021年からはDTとしての適応が承認されました。究極の心不全治療であったBTTとしてのLVADが,DTの導入により現実的な心不全治療として位置づけられる新たな時代を迎えたといえます。
 一方で,心臓移植を前提としないDTでは,BTTとしてのLVAD以上に,生涯にわたる遠隔期管理と合併症対策,患者・ケアギバー教育,在宅機器管理,在宅モニタリング,ドライブライン管理,さらには緩和ケアが重要になります。したがって,DT医療とは心不全チーム医療そのものであり,心不全治療チームの真価が最も問われる場面がDTであるともいえます。さらに,在宅医療や情報通信技術(ICT)の発展や普及は,DT医療においても新たな展開をもたらすことが期待されています。
 本書は,心不全治療チームとしてDTを知るための基礎知識,DTの適応と実施体制,植え込み手術および周術期管理,遠隔期管理と合併症対策,在宅管理に関する最新情報を網羅しています。循環器内科医,心臓外科医ばかりでなく,看護師,臨床工学技士,理学療法士をはじめ心不全チーム医療に携わるすべての医療従事者の皆様に,幅広い心不全診療の現場で本書を活用頂ければ幸いです。
2025年3月
国際医療福祉大学
筒井裕之

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