編著: | 宮地秀樹(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 講師) |
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編著: | 山本 剛(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 病院教授) |
判型: | B5判 |
頁数: | 484頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2025年03月31日 |
ISBN: | 978-4-7849-2513-1 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
●循環器集中治療のメッカ,日本医科大学の執筆陣が贈る1冊です。
●標準的なEBM,最新の知見に加えて日本医科大学CICU(Cardiovascular Intensive Care Unit)スタイルにも言及しています。
●基本的な検査から最先端の診断法・治療法に至るまで,心血管疾患から多臓器障害まで幅広い知識や管理法の重要トピックを網羅しています。
第1章 重症心血管疾患管理としてのCICU
1 CICUの組織や人員配置 宮地秀樹
2 CICUにおける教育カリキュラム 山本 剛
3 チーム医療(ショックチーム),多職種ラウンド,多職種カンファレンス 岡田真理
第2章 CICUにおける検査
1 血液ガス・バイオマーカー 木村徳宏
2 脳神経モニタリング 横堀將司
3 心電図 岡英一郎
4 胸部X線,CT 松田淳也
5 TTE(経胸壁心エコー),肺エコー 時田祐吉
6 TEE(経食道心エコー),特殊TTE(3D,ストレイン) 関 俊樹,泉 佑樹
7 冠動脈造影,その他造影 三軒豪仁
8 心筋シンチグラフィ,MRI,PET 今井祥吾
第3章 CICUでの管理と侵襲的手技
1 輸液,電解質管理 澁谷淳介
2 TDM 庄司知紘
3 鎮痛・鎮静・せん妄管理 日野真彰
4 栄養管理と血糖コントロール 脇田真希
5 循環作動薬 細川雄亮
6 血行動態管理 中田 亮,中田 淳
7 気管挿管・抜管 岸川洋昭
8 経静脈ペーシング,恒久的ペースメーカ・ICD管理 岡英一郎
9 心囊穿刺 岩﨑雄樹
10 カルディオバージョン 蜂須賀誠人
11 特殊BLS/ACLS(カテ室,補助循環中,開心術後など) 福士 圭
12 人工呼吸器(NPPV,HFNC承知を含む) 上田桂子,竹田晋浩
13 腎代替療法 橘 貴大,山本 剛
14 補助循環(IABP,ECMO,IMPELLAなど) 中田 淳
15 CICUにおける臨床工学技士の役割 豊冨達智,鈴木健一
16 リハビリテーション(心臓リハビリテーション,呼吸リハビリテーション,理学療法) 齊藤 彬
17 周術期管理 間瀬大司
第4章 プレホスピタルケアおよび救急外来
1 院外心停止 濱口拓郎
2 救急外来における胸痛,呼吸困難の鑑別 浅見慎思,宮地秀樹
3 心原性ショック 中田 淳
第5章 急性冠症候群
1 ST上昇型心筋梗塞 塩村玲子
2 非ST上昇型急性冠症候群 澁谷淳介
3 機械的合併症 宮地秀樹
4 経皮的冠動脈インターベンション(PCI) 杉﨑陽一郎
5 急性冠症候群の外科治療 丸山雄二
第6章 急性心不全
1 病態生理 佐藤直樹
2 急性期薬物療法 鴫原祥太,白壁章宏
3 非薬物療法 小鹿野道雄
4 重症心不全に対する治療戦略(心臓移植,VAD) 塩村玲子,塚本泰正
5 急性心不全の緩和ケア 井上淑恵
第7章 難治性不整脈
1 上室性不整脈 岩﨑雄樹
2 心室性不整脈 岩﨑雄樹
第8章 その他の急性心血管疾患
1 救急外来で出会う重症弁膜症 綱本浩志,中田 淳
2 急性大動脈疾患 圷 宏一
3 急性肺血栓塞栓症,肺高血圧症に伴う急性心不全 山本 剛
4 劇症型心筋炎 澤谷倫史,白壁章宏
5 特殊心筋症,感染性心内膜炎,心膜疾患 井守洋一
第9章 CICUにおける併存疾患,合併症
1 貧血,輸血療法 太良修平
2 脳卒中(脳梗塞,脳出血) 鈴木健太郎,木村和美
3 呼吸不全,急性呼吸促迫症候群 河越淳一郎,竹田晋浩
4 感染症および敗血症 脇田真希
5 急性腎不全 增永直久
6 循環器疾患に対する集学的治療(循環器疾患と消化器障害) 谷 憲一,白壁章宏
7 DIC,止血線溶モニタリング 髙橋應仁,山本 剛
8 侵襲的手技に伴う合併症 石原 翔,宮地秀樹
9 患者条件(肥満,妊娠,高齢者) 門岡浩介
索引
近年の医療の進歩や超高齢社会が続くことにより, 循環器集中治療を要する患者は増加傾向にあり, この領域に携わる医療従事者のニーズが高まってきている。循環器集中治療はcomprehensive cardiovascular intensive careと言われるように,重症心疾患管理に加えて包括的な全身管理が求められる。最近,心原性ショック患者において,機械的循環補助のひとつであるIMPELLAの有効性が報告されたが,IMPELLAはカテーテルを留置するだけでなく,適切な設定,合併症予防,心臓を含めた多臓器障害管理をチームアプローチで行うことにより効果が発揮される。このIMPELLA管理はまさに循環器集中治療の特徴を表している。
循環器集中治療のニーズや関心が高まっている一方で, 携わる医師はまだまだ少数であり,その育成が課題になっている。教育に関するプラットフォームは十分提供されておらず,循環器集中治療に特化したテキストはない。そこで今回,これから循環器集中治療を学ぶ集中治療医,救急医,循環器医を対象として,循環器集中治療に必要な知識と手技のポイントに主眼を置くテキストを企画した。執筆は編者が所属する日本医科大学心臓血管集中治療室(cardiovascular intensive care unit:CICU)に勤務する現役ならびに最近まで携わっていたスタッフに依頼した。当CICUは,循環器内科医が専従して循環器集中治療を行う,日本では稀少な施設である。1973年に開設されて以来*,このクローズドシステムで運用されてきており循環器集中治療のメッカとも言える。本書『循環器集中治療 CICUテキスト』では,この背景を活かして標準的なEBM,最新の知見に加えて日本医大CICUスタイルについても言及いただいた。
本書が多くの若手医師の循環器集中治療への関心を高め,今後の診療レベルの向上につながれば光栄である。さらには循環器集中治療の認知がさらに高まり,発展の一助になることを期待する。
*カバー写真の「since 1972」は,開設準備から? 1973の間違い? 諸説ありますが,謎です。
謝 辞
ご多忙のところ素晴らしい内容をご執筆賜りました先生方に心より御礼申し上げます。また,温かくハートフルな推薦文をいただきました淺井邦也教授に深謝いたします。最後に,企画から出版までいつも優しく寛大にご対応いただいた日本医事新報社の長沢雅氏に感謝申し上げます。
2025年3月
編者を代表して
日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 病院教授
山本 剛