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医業経営ツールボックス 開業編 Vol.4

◆Vol.4 医療モールの開業を考える

医療モールでの開業を検討しています。医療モールの特性と契約決定までの留意点を知りたいのですが。

医療モールとは、診療科目が異なる複数の診療所や調剤薬局が一つの建物や敷地に同居する施設です。大別し、3区分で医療モールの種類と特性をご紹介します。

一般的には、複数の診療所(診療科)が一つの場所にあることから、高齢者など患者様にとっては、受診面でニーズにあった診療が受けられという利便性が高く、一方で開業者(医師)にとっては、認知度や集患力、専門性特化や診療連携などにおいてメリットがあるとされています。
また最近では、木のぬくもりを活かしたwood調の建物や、デザイン性に優れた個性的な建物なども多く、ご希望の開業イメージに合わせ選択の幅が広がっています。

●医療ビル型(同一ビル内の複数階にまたがって入居)
同一ビルのテナントのほぼすべてがクリニック・薬局となっているタイプです。あらかじめクリニック入居を前提に設計されていますので、電気容量・給排水・床荷重・広さなど基本的な医院向け仕様は施されておりますので、ハード面の不安は少ない形態です。
ただし、借主が自由に内装を行うスケルトン渡しがほとんどの為、内装費用負担はあるとお考えください。(※貸主が一部負担や支援可能等の場合もございます)
こちらの形態は、比較的多くのクリニックが同一ビルに入居するため、医療モールとしての価値や認知度も高まりやすいと言われています。

●商業施設内医療フロア型
駅ビルや郊外の大型ショッピングモールの同一フロアに、クリニックテナントが複数入居するタイプです。このタイプは立地が日常の生活圏であるため、高い認知度が見込めますので、広告宣伝費の負担減が期待できます。
ハード面では、施設の大型駐車場・共有スペースなどを共用できるという点もメリットがあります。
ただし、借主が自由に内装を行うこちらもスケルトン渡しがほとんどの為、内装費用負担はあるとお考えください。(※貸主が一部負担や支援可能等の場合もございます)

●医療ビレッジ型(独立戸建型)
同一敷地に一戸建クリニックが複数存在し調剤薬局もあるタイプです。郊外など敷地に余裕がある地域に多く見られます。建物の建築・内装を貸主が負担し開業希望医へ貸し出す場合が多く、初期費用の抑制には効果的です。ほとんどは十分な駐車場が完備されていますが、1件あたりの保有台数は確認が必要です。
貸主によっては、ある程度までは内装に関する希望を聞き入れてもらえる場合もあります。こちらもハード面での不安は少ない形態です。

◆医療モールでの開業検討時の留意点
下記の4点は、どの形態の医療モールでも検討必須項目とお考えください。

Check 1 医療モールの全体的なイメージだけでなく、まず開業科目の診療圏を十分に検討しましょう。
・多種の科目が入居し医療モールが形成されますが、全ての科目に関して好適とは限りません。診療圏調査をモールの運営者会社が行っていますが、その内容に関してご自身でも必ず再検証しましょう。
・10年・20年後の人口構成は大きく変化します。現在だけでなく先々も視野に入れて検討することが重要です。

Check 2 医療モール全体の安全性や将来性に問題がないことの調査が重要です。
・入居者が、自分だけで他が決まる様子がない。(最終契約を行う前に、必ず入居予定者の契約状況を確認しましょう)
・土地建物のオーナーの経営状況の診断を行い、赤字経営等の負の要素がないことを確認しましょう。(噂に惑わされず、可能な限りの調査を行いましょう)
・調剤薬局の入居情報の確認も忘れずに行ってください。

Check 3 医療モール企画管理会社のモール開業後の運営方針を確認しましょう。
医療モールの潤滑な運営には、企画管理会社が全入居者を総括し、開業後もモールの運営に関わることが大切です。入居後の企画管理会社の連携に関しては、必ず書面での回答を受けましょう。
・それぞれが個人事業主として入居なさることになりますが、共有スペースも多いため管理規約は重要となります。トラブル防止に関しての対策が万全かを確認しましょう。
・PRに関しては、モールの一括広告なども提案可能な企画管理会社かを見極めましょう。

Check 4 ハード面の不備はないか最終確認を行いましょう。
・一般的に医療モールは、天井高・床下配管スペース・電気容量・床荷重などハード面は安心ですが、ごく稀に設計者に医療系の知識が足りない場合があります。
・契約時にはハード面の詳細を必ず確認しましょう。また、科目による違いもあります。ご自身の開業科目に関する注意点を熟知することが大切です。

各モール形態別の留意点は、開業編vol. 5でご紹介いたします。

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