◆Vol.7 第三者による医院承継開業時の留意点 (2)医療法人承継 医療法人の承継による開業を考えています。承継時の留意点を知りたいのですが。 |
承継予定医療法人の種類により違いがありますが、後継者不在により第三者に譲渡希望の場合、大半が現在は新規設立が認められない経過措置型医療法人と考えられます。(※平成19年以降は基金拠出型のみ設立可) |
今回は二つの医療法人の内、経過措置型医療法人について主にご紹介します。
初めに、各医療法人の違いについて簡単に触れます。
●経過措置型医療法人 ●基金拠出型医療法人 |
上記2種類の医療法人の現在での比率は、総数49,498施設中41,476件が経過措置型であり、基金拠出型は増加傾向にありながらも8,022件(平成26年3月31現在:厚生労働省資料)という現状です。
経過措置型は設立から20年以上経過しているものが多く、理事長の高齢化などにより後継者のない場合、解散や第三者への譲渡などの選択を迫られている状況です。そのため医療法人承継による開業をお考えの方には、今がその時とお考えください。
しかし「新設が認められない法人を承継することができるのか」という疑問をお持ちになる方もあるかと思いますが、経過措置型とは、まさに医療法改正による混乱を避ける為に当面は経過措置として継続は認められており、新規開設はできないながら承継は認められています。
では、親族でない第三者がその承継を行うにあたり、具体的にどのような形式で行うべきかご紹介いたします。
経過措置型の医療法人譲渡とは、旧理事長(院長)の出資持分を第三者に譲渡(移転)することにより、理事長(院長)が交代することになります。(※譲渡前に法人社員の身分取得が必要です)ただし、第三者による承継の場合、単純に出資持分を買い取るだけでは完了ではありません。詳細な調査が必須です。下記に確認事項を列記いたしますのでご覧ください。
◆確認事項 Check 1 土地・建物は賃貸か、買い取りか。価格設定は適切か。 Check 2 医療機器・備品の査定は? Check 3 帳簿内容 Check 4 医療法人定款内容確認 Check 5 帳簿上以外のマイナス資産はないか? Check 6 従業員の引き継ぎは? Check 7 営業権の算定(のれん代) |
医療法人の承継は、非医療法人の承継と比べると官庁への提出書類も少なく理事長の交代のみで完了しますが、精査すべきものも多岐にわたります。
上記の点を十分に検討の上、適切な価格での承継を実現するためには、専門家の査定により交渉を進めることをお薦めいたします。
経過措置型医療法人を承継後に、基金拠出型医療法人(持分なし医療法人)への移行をお考えの場合は、経営編にてご紹介しておりますのでご覧ください。
Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 Vol.5 Vol.6 Vol.7 Vol.8 Vol.9 Vol.10 Vol.11 Vol.12