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医業経営ツールボックス 開業編 Vol.6

◆Vol.6 第三者による医院承継開業時の留意点 (1)デメリット回避法

開業を考えて3年になります。自己資金・患者確保などを考慮すると、後継者不在の医院を承継する方法がベストと考えました。ただし、近親者でなく第三者が承継する場合どんな事に注意が必要かご教示願いたいのですが。

まず、第三者による承継のメリット、デメリットを把握することが重要です。
その上で、個々の物件に関する開業を考えましょう。最後に、先方の経営理念の把握とマイナス遺産を背負わないための調査は必須です。

一般的に考えられる医院承継のメリット、デメリットを一覧にしますので、確認してみてください。
のメリット・デメリットを参考に、特にデメリットについて、個々の物件に関して、検証しましょう。下記に検証時の留意点を列記いたします。

◆承継のメリット
1.低コストでの開業が可能(ただし、内装・設備等が即使用可能な場合)
2.開業準備期間が短期間
3.患者さんを継承可能な確率が高い
4.地域に認知されている
5.銀行融資の折の経営予測が立てやすい
6.地域医師会との関係を作り易い

◆承継のデメリット
1.内装・備品・設備の点で自由度が低い(ただし、費用負担しリフォームを行う場合は別)
2.同一科目以外の開業は、未知数
3.開業時期の調整が必要(承継元からどのように譲り受けるかなど、双方の相談が必須)
4.前医院の評判に影響されることがある(集患・銀行融資・医師会等)
5.老朽化により、修繕費負担が発生する可能性がある(賃貸は別)

●ハード面は、経過年数により予算に差が…
表 デメリット-1 内装・備品・設備の自由度
表 デメリット-5 老朽化による修繕費負担について(賃貸は別)

実際に開業を行っていた物件ですから、一定の設備・備品は整っています。
築年数の浅いもの(10年以下)は、そのまま利用することに問題ないかと思われますが、診療所のイメージに関する承継者の希望・理想を全て叶えられない点もあることを念頭に検討してください。
また、築年数が10年以上の場合は、経過年数25年以上の物件も考えられます。現在も開業中であれば使用できないことはありませんが、この場合は内装・備品について修繕費負担額が高まることを前提に検討してください。
医院建築・内装など、患者さんの求める医院のイメージも変化しています。待合室・診察室のクロス・カーテン・床・椅子などは、心機一転入れ替える位の気持ちで臨みましょう。
ただし、建物を賃貸契約とする場合は、相談により一部オーナー負担も可能な場合もあります。

医療機器の譲り受けは慎重に
同一科目の承継では、医療機器もそのまま使用する方法が手軽だと感じる方が多いと思います。しかし医療機器によっては、保守契約期間終了や修理不能などの問題が発生することがあります。必ず製造元メーカーに譲り受けが可能であるか確認を行ってから決定することをお薦めします。

同一科目以外の承継開業は、未知数…
承継開業のメリットは、同一診療科目が原則です。
ただし、医療機関が同じ場所にあるという点では、患者認知度の面で有効だと考えることもできます。その場合診療圏については、開業予定科目での再調査が必須です。
また、営業権譲渡額の交渉時には、営業実績がメインの判断基準となりますので、科目が異なる場合は、実績のどこまでを算定するか、判断が難しい点です。可能であれば、専門家のアドバイスを受けることをお薦めします。
上記のように、他科目での承継には、経費や承継後の経営に関しての正しい判断力が求められます。この点を忘れずに交渉に臨みましょう。

承継元との関わり方 マイナス遺産を背負わないために…
表 デメリット-3 開業時期
表 デメリット-4 承継元の評判他について

承継開業の場合、当初は承継元の評判の全て(マイナス評価も含む)を承継者が引き継ぐことになります。永年の患者様との関わり方などから判断し、ご自身と経営理念の似た承継元を探すことをお薦めします。また承継時期も承継元との調整が必要なこともあり、新規開業とは違った点に配慮が必要です。
旧職員の継続雇用に関して、継続雇用を求められることがありますが、継続雇用の形態ではなく、必ず新規雇用契約として、新たな雇用主としてご自身の目で採否を決定してください。また、承継元の評判(近隣・医師会等)を可能な限り調査し、経営状況を正しく把握した上での判断が重要です。

理想的な承継…
承継は単に院長が交代すれば完了ではありません。
可能であれば一定期間前院長と共に診療に関わり、スムーズな移行が行えるような形態を整えることができれば、理想的です。

次回、開業編vol.7では、承継元が法人・非法人の各留意点をご紹介します。是非ご一読ください。

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