日本医師会の中川俊男副会長は6日に発生した北海道胆振東部地震を受け、「地域包括ケアシステムを構築する上で、災害がより重要な要素として検討課題になる」と強調した。12日の定例会見で発言した。
札幌市内の病院で理事長を務める中川氏は、「日本医師会や北海道医師会、苫小牧医師会の最終的な使命は被災地に地域医療、地域包括ケアシステムを取り戻すこと」と指摘。「全国の都道府県医師会とも緊密な連携をとり、現地の状況を見ながら必要な支援をしていく」と述べた。
中川氏は、道内全域で発生した停電を問題視。ほとんどの病院では自家発電装置を備えているが、燃料の備蓄状況や、電気が何日持つかなどの課題が浮き彫りになったとして、「こうした災害は全国で発生する可能性がある。停電時の対処について、会内で検討していきたい」との考えを示した。
中川氏はその上で、「地域包括ケアシステムの構築において、災害がより重要な要素として検討課題になる。地域医療構想としても、災害に対する医療提供体制が大きな課題になるのではないか」と述べた。
日本医師会災害医療チーム(JMAT)の派遣状況については、石川広己常任理事が説明した。発災翌日の7日には、長瀬清北海道医師会長をリーダーとした「先遣JMAT」が派遣された。先遣JMATとは、災害発生直後に出動し、JMAT派遣の必要性や被災地で求められる機能などを把握し、日医に情報提供するチームのこと。12日現在、避難所で避難生活を送っている人が多いむかわ町に5チーム派遣しているという。これまで派遣されたのは医師8人、看護職員6人、薬剤師3人など計26人。チームはすべて被災地医師会で編成した。
石川氏は、先遣JMATの派遣により状況の把握が迅速にできたことを報告。今後、被災地から先遣JMATを派遣できない場合の対応の仕方についても検討するとしている。