No.4788 (2016年01月30日発行) P.13
廣井 信 (浸水被害から復興を遂げた病院理事長)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-01-27
昨年9月に発生した鬼怒川の堤防決壊による水害で病院機能が停止するも、2カ月で全面復旧を遂げた茨城県常総市の中核病院・水海道さくら病院。理事長の廣井さんは「『負けてたまるか』の一心でした」と振り返る。
病院は堤防の決壊地点から10km離れており、決壊が起きた9月10日13時ごろ、廣井さんは鼠径ヘルニアの手術中だった。手術後も決壊を知らぬまま職員と土嚢を積み、その慰労会の最中、急に濁流が足元に流れこんだ。
入院患者を3階に避難させた20分の間に地下と1階は水没。患者90名、職員49名が取り残された。高齢者、透析患者が多く、職員と共にトリアージを行いながら救助を待った。全員助け出されたのは12日夕方だった。
CT・X線などの検査機器、リハビリ室、透析センターなどすべてが冠水した。しかし「医療が途切れてはいけない」と、理事たちを集めた対策会議で、解決すべき課題を必要な時間ごとにグループ化した作業工程表を作成。職員には雇用の完全維持を約束するとともに、「奇跡の復興」というスローガンを掲げた。
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