日本医師会の横倉義武会長は4日の会見で、2020年度専攻医募集のシーリング(採用数上限)について「さらなる柔軟性と弾力性が必要だ」と述べ、日本専門医機構と厚生労働省に対応を求めていく考えを示した。同一都道府県内の「連携プログラム」の設定や、従来通りの近隣都道府県の連携施設とのローテートによる医師派遣を認めるなどの方策により、「まずは都道府県内の医師偏在を是正すべき」とした。
20年度のシーリングは、厚労省が推計した都道府県別・診療科別の必要医師数をベースに、医道審議会の部会での検討を経て決まったもの。20年度のシーリングの対象となる基本領域では、勤務期間の50%以上をシーリング対象外の都道府県で研修する「連携(地域研修)プログラム」の設定を可能とし、その募集枠のうち5%分は医師不足が顕著な都道府県の施設との連携を求めることとした。専門医機構は9月にも20年度専攻医の募集を始める方針だ。
会見で横倉氏は、20年度のシーリングについて「連携プログラムの設定の可否によって影響が異なる。従来の連携施設でなく他の都道府県の医療機関と連携プログラムを結ぶには、時間的余裕がないというのが実情だろう」との見方を示した。その上で、各都道府県の地域医療対策協議会(地対協)の重要性を強調し、「地域の実情を反映した十分な議論が行われることを期待する」と述べた。