この病気の多くは青年期に始まり,感情と意欲が減退し欠陥状態に至るとされる。言動・思考のまとまりのなさやこの病気に特徴的な幻覚や妄想といった症状も認められる。しかし,その病態・症状は多岐にわたり,予後についてもさまざまであるために病名だけで重症であるとの判断は拙速である。
患者の全部が欠陥状態に至るわけではない。長期予後の研究では回復または社会的治癒に至る群は20〜30%,軽症群および中等症群がそれぞれ25〜30%,重症群が15〜25%との結果がある。この軽症群においては症状が存在しているけれども日常生活に支障をきたさない程度である。
回復または社会的治癒群と合わせると,統合失調症の人の約半数が治療を継続することで社会的生活を問題なく営むことができていると考えられる。予後についてこれだけ幅があるのだから,安易に統合失調症という病名だけでは判断できないという理由になる。