No.5000 (2020年02月22日発行) P.12
中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)
登録日: 2020-02-25
お盆やお正月になると、食支援に力を入れた常設型共生型居場所「みんなの保健室わじま」(No.4998で紹介)には、利用者さんが遠方から帰省したご家族とともに来訪されることがあります。カフェスペースがある保健室の存在は、ご家族にもとても喜ばれます。「いい場所やね」「母も喜んでいます。うちの地域にも、こんな場所があればいいなぁ」などと言ってくださると、保健室を開設して本当に良かったと思います。医療や福祉、健康に関する相談に来られる方も増えてきました。
病院に勤務していた時も、連休などを利用して遠方からお見舞いの方が来られる場面は多々ありましたが、そういったお見舞いの方からお褒めいただいたり、感謝の言葉を頂戴することはほとんどなかったように思います。お褒めいただくどころか「こんなに痩せていて大丈夫ですか?」「歩けるようになるんですか? 歩けるようになるまでおいてもらえるんですよね?」「せっかく遠くから来たんだし、先生に会わせてください」「なぜ入院しているのに点滴をしないんですか?」などと詰問攻めに遭うことが少なくありません。ましてや患者さんに死が近づいていると、医師の治療方針に口出ししてきたり、場合によっては家族と相談して決めたことが覆されたりします。
こういう現状が「遠い親戚症候群」と呼ばれていることを最近知りました。 病状的にソフトランディング状態にある時に、こういう事が起きると悲惨な最期を迎えることになりかねません。
それでは、どうやってこの結末を回避するかというと、やはり日ごろからのコミュニケーションが重要であるということでしょう。
「どこでどう生きていきたいか」「どんな最期を迎えたいか」。いつでもどこでも開催することができる「人生会議」を日常生活のふとした場面で実施して、その思いが叶うように支援していくのがコミュニティナースの役割であると考えます。そして、自分自身も相談をお受けする場面で「遠い親戚症候群」にならないように気をつけたいものです。
中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[みんなの保健室わじま][人生会議]