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インターネット依存の疾患概念確立を急げ [プラタナス]

No.4695 (2014年04月19日発行) P.3

樋口 進 (独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-05

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  • 久里浜医療センターがインターネット依存(以下、ネット依存)の専門診療をわが国で最初に始めてから2年半が経つ。診療を始めるきっかけは、2008年に実施した依存に関する成人の実態調査であった。この結果をもとに、当時、我々は、ネット依存傾向にある成人が270万人存在すると推計した。しかし、改めて状況を確認すると、医療を含め、この問題に対する対策はほとんど皆無であった。

    実際に診療を始めてみて驚いた。予測はしていたが、患者の半数近くは中・高校生、大学生まで含めると全体の7割を若者が占めたからだ。我々が2012年に実施した全国の中・高校生約10万人に対する調査結果も、この傾向を裏付けている。ネット依存が強く疑われる中・高校生は男子6.4%、女子9.9%で、その数は52万人に上るという結果であった。

    ネット依存の対象は、PCを使ったオンラインゲームが主流であったが、最近急速にスマホによるゲームやLINEなどに変化している。対象が何であれ、その依存度はすさまじい。まさに、ゲームや機器に、ガッチリとしがみつき、何が何でも放さない、という状況である。多くの子どもたちが、ネット使用を注意したり制止したりする親に暴言を吐き、暴力を振るう。ネット使用が夜中から明け方まで続くため、遅刻や欠席が増え、やがては自宅に引きこもってしまう。もちろん成績は急落し、サポート校などへの転校や退学を余儀なくされることも稀ではない。

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