厚生労働省がまとめた医療費の動向によると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令期間中の2020年4~5月の概算医療費は、前年同月比で10%程度の大幅減となったが、解除後の6月はやや持ち直したことがわかった。特に未就学者や、診療所の小児科と耳鼻咽喉科での落ち込みが目立つ。同省が新型コロナの医療費への影響として、10月14日の社会保障審議会医療保険部会に報告した。
概算医療費について、20年4月以降の対前年同月比をみると、4月:▲8.8%、5月:▲11.9%、6月:▲2.4%―と推移。6月には回復の兆しが認められたものの、依然としてマイナス基調にある。新型コロナへの感染を懸念した患者の受診控えが影響しており、1日当たり医療費の対前年同月比が4~6月を通じてプラスで推移する一方で、受診頻度を示す受診延べ日数は、4月:▲17.9%、5月:▲18.5%、6月:▲8.2%―と減少が続いている。
診療種別では入院外の減少幅が大きく、4~5月は受診延べ日数が2割を超える減少を示した結果、医療費の対前年同月比は、4月:▲13.7%、5月:▲15.4%、6月:▲2.6%―となった。年齢別では、未就学者の1人当たり医療費が、4月:▲32.1%、5月:▲33.8%、6月:▲22.9%―と著しく減少。1日当たり医療費の対前年同月比は2割台の伸びを示しているものの、1人当たり日数は、4月:▲43.4%、5月:47.4%、6月:▲35.9%―と6月になっても4割近い減少が続いている。
医科診療所の主たる診療科別の入院外医療費でも、小児科、耳鼻咽喉科といった未就学者の受診が多い診療科で医療費が大幅に減少。両診療科の4~5月の医療費の対前年度比は約4割の減少を示した。