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■NEWS 後期高齢者の窓口負担の見直しなどを議論―社保審医療保険部会

No.5039 (2020年11月21日発行) P.70

登録日: 2020-11-13

最終更新日: 2020-11-13

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社会保障審議会医療保険部会は1112日、医療保険制度改革メニューのうち、後期高齢者の窓口負担、紹介状なしの大病院外来受診における定額負担、薬剤自己負担の見直しなどについて議論した。後期高齢者の窓口負担で保険者の委員は原則2割負担化を改めて主張。医療関係者の委員は負担増に伴う受診抑制を懸念し、慎重な検討を求めた。受診時定額負担の義務化対象拡大では、医療関係者、保険者問わず、病床規模だけに着目した議論を問題視する意見が目立った。

昨年12月にまとまった政府の全世代型社会保障検討会議の中間報告は、後期高齢者の窓口負担の原則2割化を提言。その具現化に向けて、▶具体的な施行時期、▶2割負担の具体的な所得水準、▶長期にわたり頻繁に受診が必要な高齢者への配慮―の検討を求めている。

■加入者1人当たりの年間自己負担、2割負担化で3.4万円増加

厚労省はこの日の部会に、現在、窓口負担が1割の後期高齢者(所得水準で一般区分に該当)について、窓口負担を2割に引き上げた場合の年間自己負担額の変化を推計した資料を提出した。それによると、現在の加入者1人当たりの自己負担額は年間平均8.1万円。2割負担になった場合は11.5万円となり、3.4万円の増加となるが、高額療養費制度や低所得者対策があるために、自己負担額が倍になるわけではないことが示された。

推計を受けて保険者の委員は、後期高齢者の不安を払拭するために、自己負担割合が倍になっても自己負担額自体が倍になるわけではないことを周知するべきだと指摘。現役世代の保険料負担軽減を図る観点から、改めて窓口負担の原則2割化と、現役並み所得者への公費負担導入などを主張した。これに対して医療関係者の委員は、推計はあくまで平均値を示したものであり、高額療養費制度の上限に達しない場合は自己負担額が2倍になるケースもあり得ると反論。こうしたケースで受診抑制が起こる可能性があるとし、実際に自己負担が倍増する者がどの程度いるのか、詳しいデータの提出を厚労省に要請した。

関連して、窓口負担が3割となる現役並み所得の基準見直しについては、▶現役並み所得者の医療給付費には公費負担がないため、判断基準や基準額の見直しに伴って現役世代の負担が増加する(仮に公費負担を導入する場合は、数億円の財源が必要になる)、▶現役並み所得の基準算定の基礎となる現役世代の収入に関する最新データは2018年度のもので、新型コロナウイルス感染症の影響が反映されていない―ことを勘案しながら、検討を継続する方向性が確認された。

■受診時定額負担、再診時の定額徴収や逆紹介の推進が先決との声多数

一方、紹介状なしの大病院受診時定額負担について、全世代型社会保障検討会議の中間報告は、義務化対象を「病床数200床以上の一般病院に拡大する」としているが、複数の委員が病院や病棟が地域で担っている医療機能を考慮せずに、一律に病床数で規制することに異議を表明。初診時ほど浸透していない再診時の定額負担徴収へのてこ入れや、大病院からかかりつけ医への逆紹介を促進して外来機能の分化・連携を図ることが先決ではないかとの意見も多かった。

薬剤自己負担の見直しでは、これまでの意見を踏まえた論点として厚労省が、▶市販類似の医薬品の保険給付のあり方、▶国民皆保険制度を維持する観点からの保険給付の重点化、▶自己負担の引き上げ以外の方策による薬剤給付の適正化策(セルフメディケーションの推進)―など5項目を提示したが、突っ込んだ議論には至らなかった。

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