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【識者の眼】「コロナ第5波:大阪の悲劇を忘れないで」細井雅之

No.5077 (2021年08月14日発行) P.61

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2021-08-04

最終更新日: 2021-08-04

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今、「過去最多」といわれているのが、皮肉にも「日本のオリンピック金メダル数」と「新型コロナ感染者数」である。8月2日より緊急事態宣言が6都府県に拡大された。

第4波では全国で自宅宿泊療養中20人、入院調整中31人が、医療を受けることなく亡くなった(朝日新聞7月19日)。大阪府が最多で19人が入院できずに亡くなった。「大阪の死者突出、大阪の医療態勢目詰まり、病床逼迫患者の振り分け滞る─47時間救急車待機例も、4月下旬入院調整件数1日160件」「搬送先見つからず10日間、ベッド脇に隊員24時間—大阪市50歳代男性」「大阪の待機ステーション、入院待ち最長51時間」(5月21日)、「感染者全員へ連絡無理、自宅療養ではなく放置」(5月20日)といった記事が続いた。地獄絵図のようなことが現場では起こっていたのである。

同じようなことが、今、東京で起ころうとしている。8月1日現在、8851人が入院療養等調整中である(1)(大阪の第4波では3000人超えであった)。どう考えても、保健所職員が十分対応できる数ではない。感染者の症状判断、入院や宿泊・自宅療養への振り分け、入院先確保業務が滞ってしまう。入院調整している間に、患者が重症化し「自宅死」も起こりかねない。もちろん、保健所も人員増や、民間医療機関に委託を行い対応はされているが、この1週間での入院待ち増加をみると心配である。第4波での「大阪の悲劇」を起こさないためにも、「感染しない、させない」が必須である。

【文献】

1)東京都 新型コロナウイルス感染症検査陽性者の状況

 [https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/data/130001_tokyo_covid19_details_testing_positive_cases.csv

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)[新型コロナウイルス感染症]

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