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【識者の眼】「空気感染主体のコロナ対策への転換を」小倉和也

No.5116 (2022年05月14日発行) P.54

小倉和也 (NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)

登録日: 2022-04-26

最終更新日: 2022-04-26

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北国八戸にもようやく春が訪れ、窓を大きく開けて新鮮な風を入れることに、久しぶりの心地よさと将来への希望を感じている。今、この風が春を告げるとともに新たな生活をもたらそうとしている。

先月末にホワイトハウスは、新型コロナウイルスの主な感染経路は空気感染であり、これにあわせた対策にシフトすることを宣言した。米国疾病管理予防センター(CDC)や世界保健機関(WHO)は、空気感染であることをなかなか認めず、認めた後も積極的な周知や対策の転換に消極的であることを批判されてきた。しかし、ここへ来て換気や空気清浄機の活用などを活かした新たな対策へと大きく動き出した。

換気の重要性は以前から言われてはいるが、ウイルスを含み空気中に漂うエアロゾルなどを減らすことが、主な感染経路である空気感染のリスクを低減するため、さらにその重要性が強調されている。環境によりどの程度が適切か判断は難しいが、二酸化炭素濃度測定が目安になるとされ、欧米では概ね800ppm以下に抑えることが推奨されている。

また、空気中のエアロゾルの除去も有効とされる。このような機能を持つフィルターを建物全体の空調システムに組み込むか、窓の開放や換気扇の使用と合わせて空気清浄機を用いることでリスクは大きく低減できるとされる。国により規格が異なるが、HEPAフィルター付きの空気清浄機の活用が望ましいようだ。

さらに、医療介護や在宅の現場で重要になるのが正しいマスクの選択と装着だ。N95マスクの活用が進んでいるとはいえ、すべての人が自分に合った形のものを正しくフィットさせて使用しているかといわれると疑問が残る。米国でN95マスクなどを用いる際は、最初に漏れがないか確認するフィットテストを行って適合するマスクを選び、装着時には毎回セルフシールチェックを行うことが義務づけられている。日本の医療現場やクラスター対応を行う介護現場でも、可能な限りこれを行うことが望まれる。

感染のリスクをゼロにすることはできないが、リスクを最低限に抑え感染拡大と医療の逼迫を防ぎつつ社会活動を進めていくためにも、新しい知見に基づき対策の方法を大幅に見直すことが必要だ。

【参考】

▶WH. GOV:Let’s Clear The Air On COVID.

 https://www.whitehouse.gov/ostp/news-updates/2022/03/23/lets-clear-the-air-on-covid/

小倉和也(NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)[新型コロナウイルス感染症]

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