厚生労働省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」は6月16日、医師確保計画における「医師少数スポット」や「目標医師数」について議論した。このうち「医師少数スポット」では、現在は具体的定めがない設定区域を原則、市区町村単位とすることが論点として提示された。
医師少数スポットは、医師少数区域以外の二次医療圏に存在する局所的に医師が少ない地域を指す。都道府県が独自に設定し、医師少数区域と同様に扱うことが可能で、2020年時点で26府県が313地域を設定。ただ、「医師確保計画ガイドライン」には設定区域に関する規定がなく、二次医療圏を構成する市町村すべてを設定している例や、医療機関そのものを設定している事例など、不適切な設定事例も散見される。
運用の適正化を図る必要性から厚労省は、▶市区町村単位での設定を原則とし、へき地や離島等は必要に応じて市区町村よりも小さい地区単位での設定も可能にする、▶市区町村単位で設定しない場合は医師確保計画に設定理由の記載を求める─ことなどを論点として提示。WGでの議論を促した。
一方、計画終了時の目標医師数の設定では、医師少数区域での取扱いが課題となっている。医師少数区域では、医師確保計画開始時点の医師少数区域の基準値(医師偏在指標の下位33.3%)に到達するのに必要な医師数を目標医師数とするルール。だが、112の医師少数区域中54区域では、人口減少に伴う医療需要の減少が見込まれるために目標医師数が計画開始時点の医師数を下回り、医師を増やせない状況にある。また、医師多数区域と中程度区域は都道府県が目標医師数を独自に設定できることから、本来は医師数の抑制が求められる区域であるのに、計画開始時点の医師数よりも高い目標設定が行われている事例が見受けられる。
このため厚労省は、▶医師少数区域において計画開始時点で既に目標医師数を達成している場合は将来時点で必要となる医師数を踏まえながら、地域の実情に応じて計画開始時点の医師数を上回らない範囲で目標医師数を設定できるようにする、▶医師多数区域と中程度区域は計画開始時点の医師数を上回らない範囲での目標数設定を求める─ことを改善策としてWGに提案した。